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「明日もバイト無いし、時間気にしなくていいから。先輩と一日中ゆっくり過ごせるなんて…も~一生分の運使い切っちゃったかもっス…。」
それから芝崎はきっちり完食し、ふたりシンクに並んで後片付けをしていた時の事だった。
「後はいいから…先に風呂、入っていいぞ?」
色々と都合があるので…
さり気なくお風呂を進めたのだが。
何故か芝崎は不思議そうに目を丸め、固まってしまい。
「…どうした?」
「えっ…?一緒に入るんじゃないんスか?」
ガシャ――――ン!!!
つい落としてしまった食器は、無事だったものの…。
芝崎の爆弾発言に動揺は隠せず、
僕は慌て口を開いた。
「なっ…、ちょっと待て!なんでふたりで入るのが前提なんだ!?」
僕の気持ちなど、お構い無し。
芝崎は眉を八の字に下げて返した。
「えっ、だってオレら恋人同士なんスよ?そんなの当たり前なんじゃ…」
いやいやそれはどこ調べの一般常識なんだ?
…少なくとも、僕には適用されないぞ…。
「だっダメだ!無理っ…そんなの有り得ない…。」
「そんなぁ~…」
ちょっと可哀相だが、こればかりは譲れない。
入れるもんだと楽しみにしていたのか。
半ベソかいてしゃがみ込む芝崎。
でも、仕方ないんだ。
僕にだって準備しなきゃならない事があるんだから…
いきなりお風呂とか、まず耐えられそうにない。
今夜は特別だから。
芝崎にとってはただのお泊まりだとしても、
僕は────…
その時を迎え、コイツとの関係がどうなっているかなんて…怖くて想像も出来ないけど。
こういう事は最初が肝心だからと、母がしつこく念押ししてたから…。
裸の付き合いはまだ…おあずけだ。
(こんなコトで、嫌われたくないんだ…)
受け身だけでは関係は築いていけない。
それは身を持って実感したはず。
だから、進まなくては。
未だにしょぼくれる芝崎に、僕は心を鬼にして。
強制的に大きな背中を浴室へと追いやった。
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