神獣

Yukari Kousaka

神獣

青龍は清水の寺を揺るがし

一度の尾振りで森が消える

霊獣は喜びとともに飛んだ

広大な青空も龍の前では泡


白虎は桂川を飛んでわたる

二度の跳躍で全地を鳴らし

偉獣は強くかしこくそびゆる

燦燦たる金の陽は彼の肩に


朱雀は羽で南風を生みだし

三度の飛翔で世界が燃ゆる

麗獣の羽は桜のように散る

王の赤星は彼女の髪飾りに


玄武は比叡のように動かず

四度の欠伸で高潮を呼んだ

静獣はその甲羅の中で祈り

暗闇は常に彼を覆っている


四神は神獣の王となることを望んでいる――

いってしまった麒麟の代わりとなる王に












※本作品は英語圏のアジアSF・ファンタジー誌「Insignia Stories」に掲載された詩 'The Divine Beasts'を著者自らが日本語に翻訳したものです。

 原作はこちら→https://insigniastories.com/2022/06/23/instincts-28-the-divine-beasts-by-yukari-kousaka/

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神獣 Yukari Kousaka @YKousaka

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