底辺の女が自分の底辺っぷりに落ち込んで社会復帰したいってぼやくだけの話

らるく@修行中

2022年6月23日

友達いないから誰からも連絡ないのがデフォだが、突然メールが来た。

英文だ。

名前を見て、もしやあの人か?

うーん・・・ほかに思い当たらない。

彼は米国人で、5年前に同じ団体に所属していたが挨拶程度の付き合いしかなかった。

米国人。

つい、考えてしまう。

私の代わりに銀行へ電話してくれないかなあ・・・?

いやいやいやいや、それはダメだ。

そんな風に、他人に頼ろうとするから人生失敗する。

と言うか、散々失敗してきた結果が今なわけで。

自分でやるしかない。

そう、今日こそやらなくては。

私は既に3か月も放置していた。

確かこの辺にあったはず、と私は銀行から届いた封筒を引っ張り出し、中から新しいデビットカードを取り出した。

とりあえず、届いた日にやれよと思いつつ、裏面に署名する。

何年に一度のことか数えていないが、私の口座は時々凍結対象にされた。

その際、カードを使って残高が動くと凍結を免れる。

預金はできないので、その度にダイソーで買物して凍結回避していたのだが、今年初めて気づいたのだ。

もしや、デビットカードをアクティベートしないから凍結されるんじゃねーの?

ってことは、いつも警告が来る7月以前、6月までにアクティベートすれば最初から回避できるんじゃ?ってことを考えたのに、私は今日まで放置を続けたのだ。

なぜってね、まずさ、スカイプの使い方、毎回忘れてるんだな。

で、通訳つけてくれって頼むと、おそらくAT&Tの人がつくんだけどさ、外国人か現地の日本人がつくことがほとんどなんだよ。

相手は日本語喋ってるけど、意思の疎通がかなり大変。

つまり私は、通訳つきの国際電話すらかけられないくらい、人として退化してしまっていた。

しかし、あれこれ考えてもどうにもならない。

とにかく電話をしようと、カードに貼られたステッカーを見てショックを受けた。

そこにあったのは電話番号ではなく、urlだったのだ。

これなら簡単じゃないか?と思いつつ、自分がステッカーを碌に見ていなかったことに呆れる。

だが、すぐに期待は絶望へと変わった。

ログイン画面でソーシャル・セキュリティーナンバーを要求されたのだ。

こんな風に、壁だらけだから、この作業はやりたくないんだよ・・・。

だが、仕方ない。

ステッカーの端に小さな文字で1-877の番号があったから、まずこれがトールフリーかGoogleに訊く。

無料通話だと確認してから、今度はスカイプからかけられるか調べる。

私はこんな風に、わからないことだらけで、どうしようもない世間知らずだ。

さて、いよいよ電話すると、自動音声が流れた。

「シティバンクへようこそ!あなたの新しいデビットカードの16桁の番号を入力してください!」

"16-digit number"

実は過去に1度だけ、自力で挑戦したことがあったのだが、その時、これが解らず諦めて通訳を呼んだのだ。

私は当時、digitと言う単語を知らなかった。

「では次に、暗証番号を入力してください!」

これを入れてもおそらく次はソーシャル・セキュリティーナンバーを要求され、「オペレーターへおつなぎします」になり、「通訳を呼んでくれ」になるだろう。

いや、今回は勇気を出して、もう一度自力で話そうか?

だが、しかし、

「あなたのカードはアクティベートされました。ステッカーを剝がしましょう。引き続き、暗証番号の変更をご希望でしたら"send me 暗証番号"と入力してください。または単に電話をお切りになっても良いですよ!」

send meって、どう入力するのだろうか?

7363 63か?などと考えたが、結局私はそこで電話を切った。

どうやら、通訳どころかオペレーターも呼ばずにアクティベートできたらしい。

意外に簡単に済んだ、こんなことならもっと早くやれば良かったと言う気持と、今ので本当にアクティベートできたのか?と言う疑いで、私の心は暗くなっていった。

正直、自信がない。

私には「できた」と聞こえたが、それは私の勘違いかもしれない。

そもそも今のは何語だったろうか?

全文英語だったか?

そうだよな・・・日本語が出てくるはずがない。

だが私の脳内では内容が日本語化されて保存されており、原文を自分が正しく翻訳できているかは判断しようがなかった。

とりあえず、何を言っているのかわからない部分はなかったと思う。

途中、スペイン語で「スペイン語をご希望の方は何番だかを押せ」と言う音声が20%程度しか理解できず、と言うより、「おや?意外にわかるところもあるな。スペイン語の授業は無駄ではなかったのか」と思った部分を除いては。

ここまで考えたところで、私は心底自分が嫌になった。

これは気持の問題だ。

私は自分に自信が無さすぎる。

こんな調子じゃ日本語で聞いたとしても、「自分の耳が信じられない」とか言い出すんじゃないだろうか?

疑ってばかりで、行動力が無さすぎる自分にうんざりした。

人並に行動できるようになりたい、その気持がふと、

「・・・社会復帰したい」

そう、言葉に出た。

友達を持ちたい。

誰かとメールのやり取りくらいしたい。

普段から遊び仲間とスカイプするような女になりたい。

英語なんて片言できれば何とかなる!って言うか、かつての私は英語で生活していたじゃないか!

それに、これがいちばん重要なことな気がするけど、この間カクヨムに登録したよね?

何か書くって、あの時思ったよね?

三行でもいいから、何か書けよ。

もう、「思ったけど行動しなかった」ってのは止めようよ。

ああ、こんな自分はもう嫌。

社会復帰したい。

だから、とにかくまずは書くんだ。










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