魔眼の保有者

バブみ道日丿宮組

お題:汚い幻覚 制限時間:15分

 交通事故にあった。

 そして目が覚めた。知らない天井と、ベッド。

 身体を起こすと、壁が薄く見えた。

 目を凝らすと、ゆっくりとその先が見えた。

 これは幻覚に違いないと、目を一度閉じて深呼吸。

 再度開くと、さっきよりも壁がなくなってた。

 先の先が見える。

 そこで男と男がキスをしてた。

 吐き気がした。

 女と女がキスしてるのを見るだけでも嫌なのに、その逆パターンは余計に気持ちが悪い。いや……男と女でも気持ちが悪いと思ってる。

 胃が逆流した。

 出るものは出なかった。

 身体をベッドにあずけると、今度は空が見えた。

 鳥、飛行機が近くに見える。

 

 ありえない。


 眼にはズーム機能も透視機能もついてない。

 だからこれは、幻覚。

 しばらくして医者がきた。

 その頃には目の使い方がある程度できるようになってた。

 医者はいうーー交通事故で頭をひどく打ったと、そして目を移植手術したとのことを。

 いやいや目を移植するなんて誰の了解を得てやったんだ。そのせいでおかしなのが見えるじゃないか。

 ちょうどサンプルがいたのでと医者が笑うので、恐怖しかなかった。

 入院費やらは代理が払ったという。

 仲の良い友だちも家族もいないのにいったい誰が?

 目のサンプルもその人が提供してくれたのことだ。

 より一層、不気味になった。

 その人と会えるかと聞いたら、退院する頃には会えるとのことだ。

 

 いったいどんな人なのだろうかと、リハビリをしながら毎日を過ごした。

 目はオンオフがきっちりとできるようになった。

 見たくないものを見れなくするのは大変な作業だった。

 目のリハビリなんて器具を使っても治せないものだし。


 そうして3ヶ月が過ぎその時がやってきた。

 現れたのは、金髪の少女というべき子どもだった。

 はじめましてと彼女はいった。

 そこから僕の物語ははじまった。

 魔眼の奪い合いという殺し合いがーー。

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魔眼の保有者 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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