僕の好きなクラスメートは神様の使者でした ~好きなあの子と付き合うために異世界を救いに行きます~
午後の檸檬茶
第1章 僕が告白した相手は神様の使徒でした
第1話 天野さんと僕と始まりの日
『えっ…』
晴れた青空の下、校舎の屋上で僕は、今まさに告白しようとしていたクラスメートの姿を見て驚愕した。
彼女の頭の上には、謎の輪っかが浮いており、背中には純白の羽が生えていたのだから。
それはまるで“神の使者”であるかのように。
そしてこの出来事がこれからの僕の人生を異常なまでに別物に変えてしまうとは思いもしなかった。
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「聞いた?また天野さん告白されたらしいわよ?」
「ほんと?今度は誰に? で、一応聞くけど、どうだったの?」
「今回はバスケ部のイケメン優等生で有名な
「勿体な~い。彼、めちゃくちゃ後輩ちゃん達からも人気あるのに。それに華の高校生だし、1度くらいは彼氏もいていいのにね~」
昼休みにそんな会話をふと耳にして僕はやっと決心した。
『よし、告白しよう』
僕、
彼女は金髪碧眼の容姿端麗、全国模試の偏差値オール70overの成績優秀、スポーツすればなんでも一人前の運動神経バツグンという非の打ち所がないような人だが、僕達の常識と彼女の常識が少し違うように僕は感じている。
でも、そんな彼女のたまに出てしまう常識外れな言動がまたギャップで、好きなのだ。
僕は世間からすれば普通の高校生である。けれども特異というなら数年前の地震で家族を失ってしまっていることだ。
そんな僕に彼女は釣り合わないだろうとか思っていながらも、
『いつか天野さんに彼氏が出来てしまうかもしれない、そうなる前に僕の気持ちを伝えたい』
そう思った僕は彼女が1人で向かっていった屋上へと向かっていくのであった。
彼女は放課後決まって友達と離れて1人屋上へと行くことを僕は知っている。
何をするのかはよくわからないが告白するチャンスだと思っていた。
階段を上がっていくにつれて、嫌われるのではないのかという不安が強くなる。
けれども、僕は自分の気持ち伝えたい一心で不安を誤魔化し、屋上のドアの前まで来た。
僕が屋上のドアを開けたとき、彼女はいつものポニーテールをほどいた金髪をなびかせながら、何かホログラムのようなものを青空に映して出して、それに向かって話をしているようだった。
それだけでも十分訳がわからないのだが、それよりも僕は、彼女の姿に驚きを隠せずにいた。
というのも、彼女の頭の上には、謎の輪っかが浮いており、背中には純白の羽が生えていたのだから。
それはまるで“神の使者”のようにさえ感じた。
そうして唖然としていると話し(?)を終えた彼女が僕に気づいた。
「ふぇ!? なんで君がこんなところにいるのよ!? …………はっ!」
そうして彼女はガタガタと震えながら言った。
「…もしかして……見た…?」
僕はあまりの出来事にどう答えたらいいのか判断が出来なかった。
けれども彼女に伝えることを伝えるために、口を開いた。
「天野さん! あなたのたまにしてしまう常識外れな言動も、頭に浮いてるように見えた輪っかも、背中の方にある羽のようなものも何もかもが好きです。付き合って下さい!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 急に何言ってるのよ! それにその言葉…見たわね……」
彼女は僕の告白に驚くと同時に不思議な位に落ち込んでしまったようだった。
そしてこちらに背を向け、うずくまってしまった。
僕は何がなんだかよくわからなかったが、とりあえず酷く精神にダメージを負ってしまったらしい彼女に近づいた。
「気づかれてしまった。気づかれてしまった。きづかれてしまった。キヅカレテシマッタ。キヅカレテシマッタ…………………」
そう彼女がブツブツ呟いているのに気付き、落ち着いて貰おうとした。
「あ、天野さん? …大丈夫ですか?」
彼女は僕の声を聞くと、我に帰ったかのように顔を上げた。
そして何かに思うところがあったのだろうか、こちらを向きじっと見つめた後、少しのあいだブツブツと「魂のが異常なほどに大きい…」だとか「これほどの魂の大きさならあの世界を救えるかも…」だとか言った後に、顔を明るくして僕に言うのだった。
「仕方ないわ。私の本当の名前はレイア=ハルモニア=シルワ。神々に仕えし調和の使者よ。本来はこの世界を監視、守護し、調和を保つのが仕事なのだけれども… あなた、異世界に行って世界の調和を取り戻してきなさい。あなたの魂は異常に大きい。その魂の大きさが異世界では強さに繋がりやすい。その世界に人々の調和を乱そうとする者が現れた。調和の使者としてあなたに世界を救いに行ってもらいます。そして世界を救えたならさっきの告白を受けてあげます」
彼女からの返答を聞いて、始めこそ天野さんの話に驚きはしたが、僕の答えは決まっている。
僕にはもう家族がいない、数年前に起きた地震でみんな死んでしまったのだ。
そんな僕が天野さんの彼氏となって一緒にいれるというなら…
「喜んで異世界に行きます!そして天野さんの彼氏になります!」
「異世界に行くなら、この世界の人達から貴方の記憶は失われる。それでもいいの?」
「問題ありません」
「宜しい!それから、これ以上正体がバレる訳にもいかないから、いままで通りの呼び方で呼んで。」
「はい。渚さん。」
そう言った彼女の笑みに僕は見惚れたまま言ったのだった。
「…っ 言ったそばから! 天野さん、でしょ!」
顔を赤らめてそう訂正した彼女は、『
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こうして僕は天野さんの導きのもと、人知れず異世界へと旅立つことになるのだった。
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どうも、作者です。しばらくは連日投稿します。
次の投稿は明日朝7時を予定しています。
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