どうということのない台詞集(女性)
※ 既存作から抜き出し及び改変したもの。
1
「はい、わかりますか? まずはお互いの名前からいきましょう。私はユベニー・セレーラン。ユ、ベ、ニー・セ、レー、ラン。この診療所の医者です」
2
あたしは山神様のお嫁に行かねばならないのです。熊をとる家の娘として、熊をとりつくしてしまった家の娘として、あたしは行かねばならないのです。
あたしはおそろしゅうございます。どうかお叱りにならないでくださいまし。父様や母様や、村の皆のための大切なお役目であるのはわかっておるのです。あたしの我儘で皆を飢え死にさせるわけにいかぬこと、わかっているのです。
けれど、あたしは、あなた様を、お慕い申しておりました。
どうか、どうか、あたしが奥山の庵へと入りましたら、夜のうちに一度、たったのいちど、お顔を見せに来ていただけませんか。
そうすればあたしは、心を強く持つことができましょう。
どうか、どうか、お願いいたします――
3
「なるほど? あんなにうぶだったアルルくんも、今ではいっぱしのオトコってわけね」
4
あ、そちらのかた、そのままで。
邪魔をなさらないでね?
わたし、とっても気分がいいの。
だから人間の方々はおとなしくなさっていて。
でないと、うっかり潰してしまうわ。
ね?
5
「騒動が起きて、アコーディオンはめちゃめちゃに壊れて、あのひとは右手の骨を折ったの。いまもまだ、満足に演奏できないの」
「あなたのせい」
6
「忘れないでね。君はなんだって出来るんだよ。私の世界は、君を縛ったりはできないんだよ」
7
「エーラさん。大人にならない薬が本当に効くのならなおさら、そんなものを子供に渡してはならないのよ。あなたぐらいの年齢で男の子も女の子も、大人に向かってどんどん体がかわっていくのよ。それは、その成長は、子供のもので、奪ってはならないものだわ」
8
「少しは大人になったのかしらね、私たち」
9
「じゃあ、今からきみを説得します。手に持った包丁を放っぽって明日も生きるか、今朝には死んでるはずだったから今死ぬか。一度きみを助けたわたしとしては、明日も生きるほうだと嬉しいかな。三つ数えるね。いち。に」
10
「
11
「
ふたり、ふたりのどちらかが、そうなのよ。ふたりいたはずなの。なのに、わからないのよ。思い出せないのよ。頭の中が霞んで、軋んで、どちらもわからないの。名前も顔も混ざってしまう。
銀梅花の花も実も、好きで。小さな花に顔をくっつけて。丘の、丘の上で実をたくさん摘んだはずよ。そのはずなの。夏が終わって。ああ、夏がもうすぐ終わるわ。終わってしまう。だから、今日じゃなければいけなかったわ。次はまた、来月の中頃だから、そうしたら間に合わない。今日、やってしまわなければ。
だって、もうすぐ、じゅ、十四才。そうよ十四才だわ。十四才になるの。来年には大人になってしまうのよ。
だから渡して欲しいの。
間違えないでちょうだい。夏が終わると、誕生日がくるほうの娘よ。そうよ、そうなの。夏が終われば、誕生日なのよ。十四才の誕生日なの。
名前は……名前は……
11
あたしはエーラ・パコヘータ。
いろいろあって、魔法使いをすることになりました。
でないとお母さんが死にます。
12
「はじめましてぇ。ハニと申しまぁす。ハマハッキ様の使ぃ魔でございまぁす。今朝はハリハリムシをありがとぅございましたぁ」
13
「我は人の身に猫を
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