メリー・マイラブ【1:1_5分】
【概要】
「僕はただの田中にすぎないけど、僕も君の後ろにいるよ」
地球は丸いので、メリーと田中はお互いの背中を追いかけ続けることになります。
(何言ってるんだこいつらは、というテイストのお芝居が好きな方へおすすめ)
登場人物
・メリー
近年萌えキャラ化の激しい、電話をかけながら近づいてくる超有名怪異
・田中
田中。
【PCやタブレット使用であれば、画面右上の「ぁあ《ビューワー設定》」から、組み方向を縦組みにすると読みやすいかと思います】
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https://kakuyomu.jp/works/16817139555946031744/episodes/16817139555946036386
<以下本文>
メリー:わたし、メリーさん。今あなたの後ろにいるの
田中:僕はただの田中にすぎないけど、僕も君の後ろにいるよ
メリー:えっ?
田中:僕たちはね、メリー。とてもとても大きな環の上で、お互いの背中を目指して、永遠の追いかけっこをするんだよ
メリー:何を言っているの? そんなことをして、あなたにどんなメリットがあるの? 永遠だとあなたは言うけれど、そんなのはいつか来る終わりをずるずると引き延ばすだけだわ
田中:終わりは、来ない。だって君は、僕の後ろにきて、それからどうするの?
メリー:それは
田中:僕はね、メリー。僕はただの田中だけど、この世の誰よりも君が好きな田中なんだよ。僕の背後に来て、それで終わりだなんて悲しい。だから、僕が君の背中を追いかけている間は、追いかけていられる間は、僕の背中を追いかけ続けてくれないか
メリー:ずるいわ、そんな言い方。わたし、メリーなのよ。あなたがあきらめない限り、ずっと追いかけなければならないじゃない
田中:嫌?
メリー:どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ! わたし、何度も電話したじゃない! その時にどうして言ってくれなかったの!?
田中:ごめん。その頃の僕には、まだ勇気がなくて。でも今、君の声が聞こえる距離になって、初めてわかったんだ。このまま終わりにしちゃいけないって。君が僕を目指してくれているのなら、僕もそれに応えなくちゃいけなかったんだ。待ってるだけじゃ、君にふさわしくないって思ったんだよ
メリー:……生意気だわ。わたしの背後を取ろうだなんて、ただの田中のくせに生意気なのよ。やれるものなら、やってみなさいよ。ほら……言いなさいよ。待っててあげるから
田中:――僕は田中。今、メリーを目指して歩いている
メリー:わたし、メリー。今、あなたを目指して歩いているわ
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