第12話 お互いの気持ち①

…………………………………………


…………………………………………




「オキニス君っ////あの…その…」


オキニス「………………」


ぎゅぅぅと身体が軋むぐらいの強さで抱きしめられる。


ちょっと痛いけど、嬉しい…ドキドキする。

…こんな風に抱きしめられると…



オキニス君も私と同じ気持ちなんじゃないか…と勘違いしそうになる。


…いやいや…


なに勘違いしているの!私!!

オキニス君から好きだとは…言われてないでしょ!!


てっ…手紙では「愛しています」と、

書かれていたけど…もしかしたら…

親愛…の意味かもしれないし!!


思い違いにも程がある!!


でも…手を背中に回しても良いよね…


今だけ少し…少しだけ…

自分の気持ちに正直でいたい。


オキニス君の背中に手を回そうとした時、

とある事に気がついた。



『母さんと黒夜ちゃんの存在』



慌てて、目で2人を探すと…



緑(私達は出て行くわね。真澄!頑張ってね)


黒夜(いっけーオキニス王子に想いをぶつけちゃえ!)



母さん…黒夜ちゃん…////


2人は笑顔で手を振りながら、

部屋を出て行った。





"キィィ…バタン"




……うぅ…やっぱり見られていた。

恥ずかしい……けど…ありがとう

母さん…黒夜ちゃん…


……よしっ…後は私の勇気だけ!


恥ずかしさを取っ払い、私はそっとオキニス君の背中に手を回した。



オキニス「………!」


「オキニス君…心配かけてごめんなさい。

そして、この世に戻れるよう手配してくれて、

ありがとうございます…

ただいま戻りました。」


オキニス「お帰りなさい真澄…

戻って来てくれてありがとう…

…もし、戻って来なかったら

俺も…真澄の後を追って死ぬつもりでした…」



……えっ?!今一瞬、

何か良くないワードが聞こえたような…


……オキニス君…疲れているのかな…


そりゃあ…仕事の合間をぬって…

牡丹王国から迎えに来てくれたり、

守ってくれたり、


この世に戻る手助けをしたり、

母さん達も見てくれた……


……って……


……殆ど私に関連している事ばかりじゃないの!!


…私のせいで…本当にごめんなさい

オキニス君…


「オキニス君……死ぬだなんて…

そんな冗談を言わないで下さい。

ねっ!わっ私が泣いちゃいますよ!」


オキニス「…………………」


「いいんですか?大の大人が泣き叫びますよ!だから、私なんかの為に命を捨てないでください。」


落ち着かせる為、

右手でオキニス君の背中をさすろうと

した…手前…


オキニス君の動きがひと先早かった。


彼は抱きしめた手を離し、

その手を私の頬に包み込んだ。


恥ずかしくて、少し顔を逸らしてしまう。

顔との距離が凄く近い…




「……オキニス君…////」


オキニス「冗談じゃありません……本気です。

後を追う程に…俺は貴方に恋慕している。」


「……えっ……恋慕って…」

 


オキニス君の言葉に目を見開いて、

驚いて彼の顔を見たら…


私の瞳に映る彼は、頬をほんのり赤色に染め、真剣な表情で私をジッと見つめていた。



オキニス「貴方が好きなんです。」


そう…熱がこもった声色で伝えると、  


顔を近づけ…



「……!!まっ…待ってオキッ……ンムゥ」


私の言葉を制止するように、

オキニス君は私の唇に自身の唇を重ねた。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る