第8話 オキニスside②武虎への回答
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焔火「パンド国王から話を聞いている
……武虎が儂に聞きたい事が
あるらしいと…」
暗い顔で項垂れて…
焔火「……もう…儂だけじゃ…隠せられない…どうする事もできない…
武虎…怒っているだろうな…」
はぁ…とため息をつき、やがて俺とパンド国王に視線を向けた。
焔火「……2人に事実を伝えなければ、
ならない事がある。付いてきてくれ…
見せたい部屋がある、話はそれからだ」
焔火国王の表情や声色からして、
これから予想にできない事が起こる様な…
パンド国王も何かに勘付いたのか、
いつものおちゃらけを封印して、
真剣な表情。
パンド「……分かった…
僕達にその部屋を案内してくれるかな」
パンド国王の問いに焔火国王は、
こくりと頷き、ゆっくり歩き出した。
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……………
焔火国王の案内の元、
ついた場所は、牡丹城の最上階。
お札がビッシリと貼られた扉の前だった。
「…………」
異様な雰囲気に顔が引きつる。
…それに……
「焔火国王…この部屋の中に
誰かいますか?」
人の気配を感じるような…
パンド「あっ本当だ!中に誰かいるね!
これはどういう事なの?」
焔火「……オキニス王子…パンド国王
雛美火の裁判の時…武虎の事について
覚えているじゃろうか?」
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(回想)
リール「……パンド国王…
何故、飯田武虎の事まで……
刑をしっかり受けたはずじゃ……
まさかっ……」
焔火「………っ…」
パンド「リッリール国王!
いけませんっ!!」
リール「……テメェ…
今回の真澄さんの件といい、
俺に嘘をついたな!!どういう事だ!!」
焔火「…それは…」
「とっ…父さん!!暴力はダメだ!
一体どうしたんだ?
そんなに怒って…」
リール「…悪い…頭に血がのぼった…
飯田武虎はな…俺とルビーの命の恩人なんだ…」
「……えっ……」
リール「ちょうど事件当日、俺たちは
新婚旅行で牡丹王国にいたんだ
……我を忘れた雛美火王子と遭遇して
殺されそうになった」
「…まさか…飯田武虎さんという方が…
父さんと母さんを……」
リール「そうだ…俺達の盾となって、
無残に殺されてしまった…
…彼のお陰で俺やルビー、
オキニス…お前も今こうして、
生きていられるんだ
…それなのに…王家ぐるみで証拠隠滅
しようとしていたとは…」
息子と言いお前も最低だな
市民の命をなんだと思っているんだ」
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「……………………」
覚えている。
父さんが焔火国王を殴りかかる所を
俺が必死にとめていたから。
焔火「リール国王が…証拠隠滅と
言ったな…たしかに…あやつの言う事は
あながち間違っていないかもしれんな」
焔火国王は扉に手をかざし、
呪文を唱え、扉を開けた。
ガララ…
焔火「中に入っていいぞ、2人とも」
「はっはい…失礼します」
パンド「失礼するね」
パンド国王、俺の順に部屋の中に入る。
部屋の中は白い花々が辺り一面に咲き乱れ、
線香の様な香りがする。
扉から続く一本道があり、
その先を見ると…
オキニス「これは…一体…」
パンド「焔火国王…貴方は……」
焔火「……………」
赤茶色の長髪の女性が
液体と花が入った瓶に
閉じ込められた姿があった。
扉前の違和感の正体が彼女だと、
瞬時に理解した。
この女性…真澄と一緒に行動している1人と瓜二つだ。…もしかして……
焔火「…ご存知の通り…武虎じゃ…」
「…!!…えっ…武虎さんは、18年前に亡くなっているんですよね!」
目の前の女性は、生気を感じる。
眠っている様にしか見えない。
これは一体どういう事なんだ?!
訳が分からず、内面パニック状態になっていると、パンド国王がおもむろに口を開いた。
パンド「…焔火国王…僕の問いに…
正直に答えてね」
焔火「……ああ、言ってみるがいい…」
パンド「……貴方は…武虎さんを
『生き返らせよう』としている?」
「……なっ…」
なんだって?!
死者を生き返らせる?
そんなあり得ない事……ある訳……
焔火「……あぁ、その通りじゃ…
18年前から、武虎が生き返る方法を
ずっと探している」
焔火国王は悲しげに笑みを浮かべ、
瓶に閉じ込められた武虎さんを見た。
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