間話 恋心と異なる認識①

……………………………………………………


…………………………………



…………………



武虎「……まさか…私が国王様を

好きになるなんて…思わなかったな…」


「武虎さん……」


武虎さんは愛おしそうに、

思いを馳せていた。


本当に幸せそうな表情だった。


今まで雛美火さんの関連の話だったから、

てっきり、雛美火さんの事が

好きなんじゃないかと思っていた。


でも違った。

武虎さんが心から愛していたのは、

牡丹王国の国王様の方だった。


オーロラ「武虎ちゃん…

好きな人がいたんだね…知らなかった…

国王様との恋愛…なんだか燃え上がるわね」


オーロラさんは驚いた表情で、

嬉しそうにワクワクしていた。

正直、私も聞きたい武虎さんの恋愛話。



武虎「いっいやぁ…私が勝手に国王様を

思っていただけで…特に何もないですよ!


それに…一般市民の女が

国の王に恋愛感情を

抱くなんて失礼だし…


…ご子息の雛美火王子だって、

奥様もいる中で、アタックしたら、

私、極悪浮気女になっちゃいますよ」


オーロラ「…燃え上がるどころか、

大炎上しそうね…ごめんなさい

考えなしに軽い事言ってしまって…」


武虎「謝らないでください

オーロラ先輩!気にしてないです!」



……たしかに…奥様の存在を知りながら、

アタックするのは…常識的に……


あれっ…でも待って…

私が牡丹王国に拉致られた期間

一度も……



武虎「真澄さん?どうしたんですか

難しい顔して?」


牡丹王国の『お妃様』を見た事がない。


「…あの…疑問に思ったんです

武虎さんが働いて時って

牡丹城にお妃様っていましたか?」


武虎「……えっ……」


私の質問に武虎さんは

丸く目を見開き固まった。


やがて、ぽつりと…


武虎「……一度も見た事がない…です

働いた7年間…お妃様の姿も話題も

ありませんでした。」


そう呟いた。



オーロラ「…ねぇ…牡丹王国は確か

角が生えた妖怪さんが統治しているのよね」


武虎「はいっそうです!

焔火・紅様が統治していて……」


オーロラ「もう変わってるの?!

妖怪って長命よね?

てっきり、焔火様のお兄さんが

まだ統治しているのかと思ったわ」



牡丹王国の国王様に

お兄さんがいるなんて、

聞いた事がない。


武虎「国王様に…お兄さん?」


武虎さんも私と同様だ。



オーロラ「ええ、私が生きていた

150年前はたしか橙火・紅様よ

それにお妃様もいたわ」


「「……?!」」


オーロラ「あと…お妃様はたしか

子供を身もごっていたわね

ん?それだと…!!もしかして……」


オーロラさんは、

何かを閃いたようで顔を輝かせた。


オーロラ「雛美火さんは、焔火様の息子ではなく、お兄さんの息子なんじゃ…

それだと私と武虎ちゃん達の認識に

辻褄が会うわ!」



武虎「……」


「…………」



……もし、それが本当だとしたら、

国王様は雛美火さんにとは、

叔父と甥の関係。


何故?彼は雛美火さんに「父上」と

呼ばせているのか?


国王様のお兄さん達は一体どこへ…




武虎「…国王様…もしかして…

あの時の花束は…まさか…」


武虎さんも何かに気付いたようで

顔を曇らせた。


そして、おもむろに私達にこう言った。


武虎「……もしかしたら、国王様のお兄さん夫妻…亡くなっているかも知れません。」


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