異世界でお菓子屋さんを始めました！

第15話 赤く燃える桜貝町③

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数日前は人々の声で

賑やかだった桜貝町は…

ゴォォォ　バチバチ　バチ

赤い炎に包まれ、

人々の悲鳴や叫び声で

地獄絵図の状況となっていた。

酷い…どうして、こんな事に…

私が雛美火さんから逃げたから…？

……だったら、何故、

関係ない町の人々を巻き込むの

傷つけるの？

私だけが狙いなら…

私だけを傷つければいいのに…

追ってこればいいのに…

まるで『あの男』みたいだ

思い通りに行かないと暴力振るって、

力でねじ伏せて…

『あの男』と雛美火さんが

重なって…

雛美火さん…貴方って人は…

「………………」

なんて身勝手なの…

ダージリン「……真澄」

(…真澄が怒っている所…初めて見た…

普段、怒らない人が怒るなんて怖いぜ)

雛美火さんに対して、

怒りを感じてしまった

その時、

足音とともに聞き慣れた声が

聞こえてきた。

呉紅店主「良かった！皆さんご無事で！」

タッタッタッ

呉紅店主が手を振って

駆け寄ってきた。

ダージリン「呉紅店主こそ

無事で良かったぜ

人命の救助もありがとうな

…あれ…護衛に付けたシリンヌ王子は…」

オキニス「…グルル(……姿が見当たりせんね)」

…すると呉紅店主は

目を伏せて、事情を説明した。

呉紅店主「……シリンヌ王子は

雛美火様を追いかけています」

全員「「「　！！！　」」」

呉紅店主「桜貝町は…シリンヌ王子のお陰で奇跡的に死者は出ませんでした

…桜貝町に真澄さんがいなければ

雛美火様は諦めるだろうと思っていたのですが…甘かった…彼は執念深いのか別の町へ

探しにいえ…襲撃しにいきました…

…あの男は自身の『欲』の為に

町をっ…人を！！」

呉紅店主は唇を噛み、ぎりっと拳を作り

握りしめた。

あまりの怒りに彼女の口からは

血がつうぅと流れ出た。

「…呉紅店主……」

元気を出して！…いや違う

貴方の気持ちとても分かります！

……これも違う！

かける言葉が見つからず、

「あの…これ良かったら…」

せめて…気休め程度しか慣れないけど

私は、呉紅店主にハンカチを渡した。

呉紅店主「ありがとうございます真澄さん

ごめんなさい私情がでてしまって」

申し訳なさそうに呉紅店主は、

ハンカチを受け取り口を拭いた。

ダージリン「無理も無いぜ、住み慣れた町や大切な人々がこんな目にあったら…

誰だってそうなるぜ」

オキニス「ガウ…ガルル…ガウ

(クモード王国で町の復興支援を致します

呉紅店主…どうか落ち込まないで…)」

呉紅店主「…皆さん…ぅぅ

ありがとうございます

元は牡丹王国が原因なのに…」

バッと頭を下げて、

ポロポロと涙を流した。

呉紅店主「……私もできる限りの事を

しなくては…」

「呉紅店主…？」

何か呟いたような…

気のせいかな？

再び、頭を上げて

私、オキニス君、ダージリンさんを

順番に見た時は何かを決心した

顔だった。

呉紅店主「…皆さん、桜貝町の救助は

私とクモード王国に従者さん達に

お任せください。

「お三方はちりめん花の都を避け、

【出入り口の門】を目指して下さい

牡丹王国さえ出れば、

雛美火様は追ってこない

国王様が彼に呪いをかけ、

王国外に出られないようにしていますから」

ダージリン「…ちりめん花の都を避けるのは、雛美火王子がいるからか…

遠くはなるけど…安全の為だ！

行くぜ、オキニス様！真澄！」

オキニス「ガウッ！！バゥ！

(分かりました！！行きますよ真澄！)」

「呉紅店主…無理をなさらないで

どうか、ご無事でっ」

狼姿のオキニス君に跨がり治し、

【出入り口の門】へ目指そうと

走り出した…

その瞬間…

ドォォオン！！！

物凄い地響きと共に、

土埃が舞い上がって周りが

見えなくなった。

ゲホッ…土埃が器官に

目がっ……

オキニス「……真澄、俺の後ろに隠れて下さい」

「へっ…オキニス君…元の姿に…」

オキニス「……います」

「……えっまさか……」

オキニス「雛美火王子がいます」

！！……嘘っ…だよね

桜貝町から出て別の町に

向かっているはずじゃ…

でも、私の真正面に見慣れた

シルエットが１つ

嘘じゃない本当に…

ジャリッ…

「ひぃっ…」

やがて、土埃が晴れ、

シルエットは姿を現した。

雛美火「やっと見つけた…真澄さん

どうして俺から逃げるんだ」