第12話 危険な男②
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前回のあらすじ
雛美火さんと数日ぶりに対面。
いつもなら、
『お久しぶりです雛美火さん』って
笑顔で言えるのに…
今は…
「…………っ……」
雛美火「どうしたんだ
そんなに小さく震えて?
……ああ可愛いなぁ 本当に…」
彼の姿が…表情が怖くて
…言葉が出ない
ひと言で言うと闇落ちした感じだ。
その手に付いている血は
一体誰の血なのか……
雛美火さん…それとも……
後者だったら、その人は…きっと…
雛美火さんに…
………逃げなきゃ
逃げなきゃ!!
私も何されるか分からない
今の雛美火さんは危険だ。
突き放そうと両手で
雛美火さんの胸板を押そうとしても
びくともしない。
「雛美火さん、一旦落ち着き…」
雛美火「俺は落ち着いている。
もしかして…逃げているつもりか?
……か弱い力だな……武虎の時も…
だから人間を……ぶつぶつ……」
「……………ひっ……」
……私でも分かる
本当に不味い…彼は正気じゃない
どうして…いきなりっ………
………ううん……
いきなりじゃなかった。
豆大福を作る辺りから……
様子が少し怪しかった…
あの時、もう少し警戒心を持てば…
今更、後悔しても遅い…
今、私ができることは…
「……雛美火さん」
雛美火「なんだ真澄さん?
やっと…俺に…」
「申し訳ございませんっ!!!」
そう大声で叫ぶと
懐からお札を取り出し、
自分に貼り付けた。
すると、私の周りに結界が張り、
雛美火さんを弾いた。
バチンッ!!
雛美火「っ!この結界!
翠狐さんのっ……」
雛美火さんとの間が少し離れた瞬間、
壊れた扉の穴から部屋を出て
私は全速力で走り出した。
走れ、走れ、走れ!!
この結界が切れる前に
誰か、探さないと
助けを求めないとっ…
私、1人じゃ何もできない!!!
「はぁっ…はぁっ……」
誰かっ誰かっ………助けて
オキニス君っ!!
雛美火「………っあの狐…
邪魔しやがって!!」
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「はぁっ…はぁっ…」
城内を必死に走り続ける
だけど…体力がもう…限界で
結界もそろそろ効果が…
切れかかっている…
「くっ…苦しい……」
走るスピードがだんだん落ちる
だけど…その後ろで…
雛美火「ふふっ…鬼ごっこのつもりなのか?
楽しいなぁ」
愉快そうに笑い、
歩いているのに
私との距離を詰める。
「………っ…うぅ……もうっ…」
息が切れてしまい、
バタン!!
前乗りになり、転んでしまった。
カツ カツ カツ…
ついに…雛美火さんと私の距離が
1mまで差し掛かってしまった。
「……ひっ雛美火さん…」
雛美火「……追いついた。
真澄さん、もう逃げないでくれよ
まずは…この結界を壊さないと…」
彼は拳を振り上げ、
結界を壊す…と思ったら…
私達の間に黒い物体が割り込んできた。
「…………っ!!」
雛美火「お前はっ!!………」
黒い物体の正体は…
黒夜「きゅーっ!きゅうっ!!!
(真澄!逃げてっ 雛美火様!
僕が相手だ!!!)」
黒夜ちゃんだった。
黒夜ちゃんは雛美火さんに睨みを効かし、
唸っている。
雛美火「黒夜!!何故、『また』
邪魔をする!!
お前には関係ないだろ!
これは俺と真澄さんの問題だ!
邪魔するなら貴様もっ…」
黒夜「きゅー……(雛美火様…
貴方って…本当に……)」
黒夜ちゃんはきゅー…と
ひと鳴きしたら、
突然…
黒夜ちゃんの周りに
ブワッと風吹雪が包み込み、
数刻後、
黒い狐耳を生やした
和服姿の成人男性が立っていた。
黒夜「……都合の悪い事は忘れるんですね
26年前の事、一度思い出して下さい」
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