第10話 第三王女の正体(抹茶わらび餅)③
「貴方はピンキーさんの…幼なじみさん……」
じゃなくて!!
シラトス王国・第1王子
シリンヌ・クリアラン様!
国を丸ごと滅ぼす程の魔力を持つ
チート級の人物…
たしか、ピンキーさんを迎えに…
いや拉致する為に、
クモード王国の役所にやって来た所、
ダージリンさん含め、職員総出で
妨害したんだっけ…
おかげて何とか丸く収まったけど…
一歩間違えれば……
私たち職員+ダージリンさんは全滅エンド…
そしてクモード王国も……
……思い出したら、ゾッと悪寒が走る。
あんな事件、2度と起きて欲しくない
「あの節は…大変失礼致しました…
シリンヌ王子」
失礼が無いように深くお辞儀をした。
シリンヌ「そんなに畏まらなくても良い
いかにも俺はピンキーの幼馴染の……
いや…今はそのような浅い関係ではないな」
「……へ…?幼馴染ではない……
ピンキーさんと何かあったのですか?」
シリンヌ「ふふふっ良くぞ
聞いてくれた!
実はなピンキーと晴れて恋……」
ダージリン「はいはいはーい!
お話は後でゆっくりさせるから
まずは真澄の呪いを解いてくれ!
あと、何度も言うが姉貴はお前の
恋人じゃねーぞ!!」
突如ダージリンさんは、
私達の間に入り、じとっとした目で
シリンヌ王子を睨みつけた。
…さすが、ダージリンさん
王族相手に通常通りの対応ができるなんて…
シリンヌ「大丈夫!近い将来
実現するから安心しろ義弟!」
ダージリン「てめぇ…
姉貴が意識し始めた途端
調子に乗りやがって…」
本当に凄いな…
…なんて2人のやり取りを見ていると
翠狐「ちょっ…ちょっと金髪のお嬢さん
そそそのお方って…本物…の
えっ何故…牡丹王国に?!」
呉紅店主「シリーニャさんが……えっ?!
シラトス王国の王子様?!
今までのご無礼をお許し下さい!!」
翠狐さんと呉紅店主が玉になって
ガタガタと震え出した。
怯える2人の姿を見て、
いかにシリンヌ王子が
位の高い人物か十分に理解ができた。
うん…これが通常の反応だと思う。
シリンヌ「……そんなに怖がらなくても
……めっちゃ傷ついたー…
ダージリン…」
ダージリン「まじかよ…わかった…後で
姉貴の声色で慰めてやるから
ちゃっちゃと真澄の呪いを解いてくれ」
オキニス「シリンヌさん…お願いします!!
呪いを解くには貴方の力が必要なんです
対価の物は後日、お渡しします」
(対価はシリンヌ王子の大好物の肉類を
献上しよう…)
ザッと
オキニス君がシリンヌ王子に向けて
深く頭を下げる…
私が呪いを受けたばかりに…
彼まで頭を下げる羽目にっ…
対価だって…きっとお金が……
みんなに迷惑をかけて
本当に申し訳ない気持ちだ…
「……シリンヌ王子…お願い致します!
後日、シラトス王国に見合うお菓子を
献上致します」
せめて罪滅ぼしにとお菓子の献上と
ジャパニーズ土下座で地面に
頭を擦り付けた。
オキニス「まっ…真澄!何をして…」
シリンヌ王子「……?!」
土下座姿の私を見て
オキニス君とシリンヌ王子は
とても驚き、慌て始め
オキニス「貴方がそこまでする必要は
ありません!」
グイッとオキニス君に腕を引っ張られ、
立たされた。
シリンヌ「本当に……びっくりした
…真澄さん もう畏まらなくていいから
俺の前に立って」
真澄「はっはい…お願い致します」
軽く頭を下げると指示通り
シリンヌ王子の正面に立った。
シリンヌ「………………」
シリンヌ王子は私の全体を眺め、
クスッと笑みを浮かべ、
シリンヌ「…なんて忌々しい呪いなんだ
人間に対して…流石に俺も引いてしまうぞ
なら…~~~~(呪文)」
そう一言、呟くと
呪文を唱え出した。
シリンヌ「~~~~(呪文)
……よしっこれで大丈夫だ」
呪文を唱え終わり、数秒後…
バリンッ!!と何かが割れる音がした。
翠狐「すっご!呪い…解いちゃったよ
流石…シラトス王国の王子様…」
シリンヌ「…お前が牡丹王国の家来か?」
シリンヌ王子はくるりと後ろを振り返り
翠狐さんの方を見た。
翠狐「はっはい…一応…ですが…
でもっ僕達は貴方達の味方です!!」
シリンヌ「…それは心強い…
なら…呪いをかけた奴に伝えてくれないか」
翠狐「何でしょう…」
シリンヌ「この娘はピンキーの親友で
俺の『恩人の1人』なんだ
これ以上手を出さないでくれ
手を出そうなら…
クモード王国とシラトス王国が
敵になると…」
翠狐「……承知致しました
そのお言葉、牡丹王国・左大臣
深緑 翠狐が王に責任持って
伝えて参ります……そして…」
翠狐さんはギリリッと音を立て
拳を握りしめると…
翠狐「散々好き勝手をしてきた王子には…
今回の呪いと…今までの罪を
ちゃんと償ってもらいます」
はっきりとした声量で、
私達全員にそう告げた。
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