第9話 内緒の逢引き(抹茶わらび餅)②
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雛美火「会議に遅れるといけないので、
私はこれで、真澄さんの護衛を頼みましたよ翠狐さん」
彼女はそっと私の頬から手を外し、
翻し会議場所へと歩き出した。
カツ カツ カツ
私達は金縛りのように
その場から動けず、
雛美火さんの後ろ姿を見続けた。
私の頭の中で、
…今は動かない方が良いかもしれない…と
警鐘が鳴り響いている。
「…………………………」
翠狐「……………………」
「……………………」
翠狐「……怖っ!!何なのさ
あれは?!ちょー怖っ!!!」
「りょっ…翠狐さん?!」
やっと動ける様になったのは
雛美火さんの姿が見えなくり、
足音がしなくなった時だ
翠狐「あーやだやだ
僕まで牽制してくるなんて…」
翠狐さんは自分自身を摩って
はあっとため息をついた。
「へっ…牽制?
あっ…もしかして私が気に食わないから
雛美火さん…私に対して…」
…怒っていたのかな?
それなら怖い顔してても納得…
翠狐「……真澄さん……」
(……いや違うよ!!どう考えたら
嫌われている勘違いになるの?!
雛美火様、真澄さんに対しては
甘ったるい表情になってたじゃん!!
しかもっ髪に口付けなんて……
さすがにやばいでしょ!!)
「どうしましたか?翠狐さん」
…何か言いたげな感じ?
あっ…でも…抑えこんでる…
何だろう気になる
翠狐「何でもない!! とっとにかく
呉紅店主のお店へ急ごう
時間も限られてるからね!ねっ!」
「…!!そうでした 急ぎましょう!
翠狐さん、道案内お願い致します」
今回は数時間しか、
外出許可 降りなかったから
時間が限られているっ
ここで立ち止まっている場合じゃない
翠狐「うん!真澄さん
僕について来て」
私と翠狐さんはお互いに頷き、
早足で呉紅店主のお店へ歩き出した。
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道中…
翠狐「!!真澄さんっ しゃがんで!!!」
「へっ? はっはい!」
シャ!! ドオオン!!
「ヒェッ…」
翠狐「よっ良かった…ギリギリセーフ…」
運が悪いのか…何故か今日は
頭上に物が落ちてきたり…
ザァァァァ!!
翠狐「急に雨がっ!晴れてるのに何で?!」
バサツ!!
「翠狐さん、傘持って来たので
中に入って下さい」
翠狐「ありがとう!
さすが真澄さん!」
予想外な事が起きたりと、
色々あったが、翠狐さんのお陰で…
「…つっ着いた!呉紅店主のお店!」
翠狐「…いつもなら、20分位で着くのに
今日に限って…まさか…」
「翠狐さん…?」
翠狐さんは私の顔ではく、
先程、雛美火さんに触れた部分を見た。
あれっ一瞬、顔が引き攣ったような…
私の気のせいかな?
気のせいだよね
翠狐「……………」
(やっぱり…あの口付けで真澄さんに呪いを
かけたんだね雛美火様…
それも相当、強いものを…
単に触れたいだけだと思っていたら…
僕は呪いを解く専門じゃないから
呉紅店主にお願いしよう!)
翠狐「…真澄さん
ついに想い人とご対面だよ
長かったね…中で想い人が待ってるよ」
「!…っはい!」
中にオキニス君がいるんだ…
夢ではなく本当に…
やっと、やっと彼に会える…!
すぅ…と深呼吸をして、
胸の高鳴りを落ち着かせ
「呉紅店主 新川真澄です
失礼します」
カラカラ…と扉の音を立てて
そっとお店の中に入る
「…………っ」
中にいる人物を目にした瞬間
一気に涙が溢れ出た。
私の目の前に…
オキニス「真澄っ……」
白い獣耳とふさふさのしっぽを生やし、
エメラルドグリーンの瞳を持つ…
見間違えじゃない、
幻でも夢でもない、
正真正銘…
「オキニス君っ…!」
私の想い人がいた。
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