第9話 内緒の逢引き(抹茶わらび餅)①
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オキニス君の手紙を読んでから…
2日後…
「持ちもの良し!身だしなみ良し!
じゃあ、材料集めに行ってきます」
緑「行ってらっしゃい!
気をつけてね」
母さんに見送られ、
今日は材料集めの為呉紅店主のお店へ…
ではなく!
オキニス君達に会う為、
呉紅店主のお店に行く。
「………」
……オキニス君とどれぐらい
会っていないんだろう…
…もう2ヶ月ぐらい?
『貴方の笑顔を見たい…
貴方の声が聞きたい』と、
何度も心の中で想いを秘めて…
日に日にその想いは大きくなるばかり
早く…会いたいな…
会ったら何からお話しようかな
生活の事?
あと少しでクモード王国に戻れる事?
貴方にいっぱい話したい事や
伝えたい事があるの
「……ふふっ元気にしているかな」
さあ、まずは待ち合わせ場所に急がないと、
案内人の翠狐さんが待っている
「ふふーふーん♪」
浮かれ気分、軽い足取りで、
一歩、進めた途端…
雛美火「あら可愛らしい鼻唄
真澄さん お久しぶりですね」
「……!!ひっ雛美火さん?!」
振り返ると
数秒前には誰もいなかった場所に
ニコニコ笑いながら雛美火さんが
立っていた。
いつの間に……
「おはようございます
本当にお久しぶりですね
今からお仕事ですか?」
なんて、他愛のない言葉を彼女にかけたが、
内心はバクバクと動悸が速くなり、
身構えていた。
…以前、翠狐さんから教えられたんだっけ…
前回の豆大福の件、
妨害したのは雛美火さんだって…
私達に宣誓布告でもするように
証拠まで残して…
それに…
翠狐『真澄さん…雛美火様には注意して
できれば、2人っきりにならないで欲しい 』
…と耳にタコができるくらい、
翠狐さんから聞かされた言葉。
なるべく1人にならないよう、
常に母さんにや蓬ちゃん達の側にいて
雛美火さんにあまり接触しないようにした。
だけど…今…
この場に私と彼女しかいない
正真正銘の2人っきりだ。
雛美火「えぇ これから会議ありまして
真澄さんは……」
「はい なっ何でしょう」
雛美火「随分と嬉しいそうな表情を…
もしかして、今から何処かに
行かれるのですか?」
「………!!」
…どどどどうしよう!!
気持ちが顔に出ていた?!
…落ち着いて私、
ここで挙動不審になったら
ボロが出てしまう
当たり障りのない会話を…
「はい実は……」
和菓子の材料集めに桜貝町にと
言葉を続けようとした時、
翠狐「真澄さーん!こんな所に居たんだね
もう遅いじゃないか」
翠狐さんが手をブンブン振りながら、
私達の方に駆け寄って来た。
ナイスタイミング!
ありがとうございます
翠狐さん!!!
雛美火「何故…翠狐さんが此処に?
まさか2人でお茶をするつもりですか?
…最近、真澄さんの護衛、
翠狐さんばかりですよね?」
翠狐「雛美火様 本日、真澄さんは
和菓子の材料集めの桜貝町に…
僕はその見張り番です
もちろん国王様に許可を頂いているので
ご安心ください」
(……雛美火様 顔が怖い!!
ついに僕まで敵意を剥き出しだなんて
……これは相当 真澄さんに執着している)
雛美火「…………」
翠狐「それと、国王様が
雛美火様の負担を減らすように
僕に真澄さんの見張りをする様に
命を頂きました」
雛美火「……そう、父上が
なら仕方がないですね…真澄さん…」
「はっはい…」
徐に顔を上げ、
雛美火さんを見たら
彼女の瞳は…
雛美火「ちゃんと戻って来て下さいね
約束ですよ?」
私全体を捉えて離さない。
例えるなら私は蛇に睨まれた蛙状態だ。
雛美火「無事戻って来られる様に
『おまじない』」
そう言って彼女は私の髪を一房掬い、
口付けをして
雛美火「いってらっしゃい真澄さん」
私の頬を優しく手で撫でた。
「…………っ!」ゾッ!!
同性のスキンシップなのに…
雛美火さんは私の事を心配して
おまじないをかけてくれたのに…
何でだろう…
なんだかとても寒気がして…怖い…
あと、気のせいかもしれないけど
彼女は笑顔なのに…
とても怒っている様に見えた。
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