一方、クモード王国では⑤(オキニスside)

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一方、クモード王国では⑤(オキニスside)



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とうとう この日がやってきた。


作戦実行日、第一陣として

俺、シリンヌさん、ダージリンさんが

牡丹王国へ出発する。


出発前、クモード城では、

それぞれの関係者が集い、

激昂の言葉を掛けてくれた。


リール「ダージリン君…申し訳ない

本当は俺が行く予定だった筈なのに

頭が弱いばかりに……

作戦に協力してくれるとは、

心より感謝をする……」


父さんはダージリンさんに、

深々と頭をさげた


それもそうだ…本来は一般住民が

王国の作戦に参加するのは禁止と

なっている


だけど今回の作戦は、どうしても

ダージリンさんの力が必要だった

彼の能力がないと成功しないから…



ダージリン「国王様 わたくしめに

そんな…顔を上げてください

わたくしが国王様の為、マスミ・シンカワに

関わる人々の為に努めてまいります」


リール「…ありがとう

…オキニス、シリンヌさん

ダージリン君の護衛を頼むぞ」


「はい、この第一王子 オキニスが

責任持って 彼を守ります」


シリンヌ「俺がいれば大丈夫だ リール!

安心しろ……ダージリン…お前、

敬語を使えるのか……」


ダージリン「……誰がテメーなんかに敬語を

使うかっ !普段の言葉遣いで

充分だっつーの」


ダージリンさんは、じとっと

シリンヌさんを睨んだ。


…大切な家族を傷モノにした相手だから

いくら王族であろうと 誰だって嫌悪は抱く


もし、俺もダージリンさんと

同じ立場だったら、

彼以上に冷たくあしらうかも知れない


…が、当のシリンヌさんは

何を勘違いしたのか…

ぱあぁと顔が明るくなり、



シリンヌ「そうか!

俺の事をお義兄さんだと思って…嬉しいな

ピンキーの仲を認めてくれるんだな

ありがとう義弟!」


……なんて言う ポジティブ思考…

呆れさを一周して、逆に清々しい…

…ダージリンさん大丈夫か?


ダージリン「……………」(ブチ切れる寸前)


…あっ……これはまずい

怒りを必死に止めているけど、

シリンヌさんが余計な事を

あと一言 言ったら完全にキレる奴だ


「あのっ……」


ダージリンさんを落ち着かせようと

声をかけた時…


ココレット「ダージリンさんっ!」


ダージリン「………っ!!」


ダージリンさんを呼ぶ声がした。



声がした方向を振り向くと


そこには、

ダークさんの娘のココレットちゃんと

ピンキーさんが息を切らし立っていた。




……………………………………………………


※ここから会話のみとなります



ダージリン「ココレット!姉貴!

どうして此処に?!」


ピンキー「よっ良かった…間に合って

ごめんなさいダージリン…

ココレットちゃんに作戦の事

言っちゃった」


ダージリン「……姉貴…余計な事を…

危険な場所に行く作戦だから

ココレットだけには

言いたくなかったのに…」


ココレット「ダージリンさん!

ピンキーさんを責めないでっ

私が無理に聞いたんです

わたっ私、ダージリンさんが黙って

突然いなくなる方が…嫌です!!」


ダージリン「ココレット……」


ココレット「だからっ手紙を書き、

お守り作りました 受け取って下さいっ」


ダージリン「あっありがとう…っ!!

…って…おい どうした何処か痛いのか?」


ココレット「……うぅ……ぐすっ

行っちゃ……やだ……」


ぎゅっ…(ダージリンの服の裾を掴む)


ダージリン「ココレット………」


ココレット「…!!ごめんなさい

ワガママ言って…グス…

聞かなかった事にして……」


シュルッ…パサッ…(髪飾りをとる音)


ダージリン「 なあ、ココレット

俺様が帰って来るまで この髪飾りを

預かってくれないか」


ココレット「……ダージリンさん…」


ダージリン「大丈夫だ 俺様はちゃんと

此処に帰ってくる!とっても強い2人が

助っ人だしな、俺様もそうやすやすと

やられねーよ! 安心しろ」


ココレット「うんっ…うん!

約束! 私待ってる

ちゃんと戻ってきて下さいね

ダージリンさん」


……………………………………………………


ダージリンさんは、

ココレットちゃんを安心させる為、

笑顔で彼女の頭を撫でた。


ココレットちゃんは、

髪飾りを大事そうに持ち

ダージリンさんを笑顔で見つめている。


ピンキー「良かったわ…本当に間に合って

ダージリン、ココレットちゃんの事は任せて

…真澄ちゃんを見つけてね」


ピンキーさんも2人の様子を見て、

感動して涙をぽろぽろと流していた。


俺も正直に言うと感動して、

涙が出そうだ


…これで良い雰囲気で

締めくくるはずだったのに…




ダージリン「ありがとう…姉貴……


……って おい! シリンヌ王子

何どさくさに紛れて

姉貴の肩を抱いているんだよ」


ピンキー「えっ?何言ってるの

ダージリン……!!!

シ…シリンヌ様…いつの間に?!」


シリンヌさんの奇怪な行動により、

ぶち壊された。


…人前なのにやるなぁ…

シリンヌさん…


シリンヌ「ダージリン…俺もピンキーと

話をしたいが…駄目か?」


ダージリン「~~~~あぁもう!

しょうがねーな!!今回だけだぞ!!

姉貴に変な事したら許さねーぞ」


シリンヌ「ありがとう!ダージリン

十分ぐらい時間をくれ

行くぞ!ピンキー!」


ピンキー「シッシリンヌ様!?

へっ? わわっ…」


ダージリンさんの了承を得た

シリンヌさんは すぐ様ピンキーさんを抱え

翼を生やし、何処かへ飛んでった。


ダージリン「おいおいおい!

誰が連れてって良いと言った?!

……あぁ行っちまった」


「……大丈夫なんですかね

2人にして……」


ダージリン「…分かんねーよ!

許可するんじゃなかった!!」


ガクッと肩を落とし、

ダージリンさんはうな垂れた。

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