第1話 牡丹王国と人質②

…………………………………………………



……………………………………



…………………………



前回のあらすじ


雛美火さんにたらい担ぎにされ

連れられた場所は牡丹王国国王の

王室だった。


今…


雛美火「人間対して何て事しているのですか?!これだけは言わせて頂きます!

殺したいのですか?!」


国王「そんな訳ない!!

儂がどれだけ人間を大事にっ…」


雛美火さんと男性が言い争いを

している


雛美火さんあの男性の事を【父上】と

呼んでいたから、もしかしてこの方が

牡丹王国の国王かもしれない…



いや…そんな事より

2人の姿…まるで……


「………鬼……みたい……」


特に気に止めず、小声で呟いたら、

2人はピタッと言い争いを辞め、

バッと私の方を振り向いた。


……えっ……何事……?



国王「……なぜ…貴様…我々の種族を

知っておる…」


「…へっ……あの…知っているとは…」


雛美火「……私達の種族は位の高い

方たち(妖怪)しか教えていないのです

それが…何故 真澄さんが…

知っているのですか?」



……どうしよう

なんだか2人とも怖い表情をしている…


ここの世界の人達はお菓子と同じ様に

[鬼]と言う存在を知らないとは…


しかも、本当に鬼だなんて…

…まずい地雷踏んだかも…


鬼って…鬼って

人間食べるよね?!


力なんて遥かに上だし!


……ここは正直に話そう…

下手に嘘ついたら、私の人生は

おしまいになっちゃう!



「あああ…あの

私が鬼の存在を知っている理由は、

私が異世界の日本という国の出身で…


そこから得た情報なんです

なので…決して情報漏洩とかでは、

ございませんので…


ごっご安心ください(震え声)」



雛美火「なるほど それでその情報を…

って…転移者でしたの?!

しかも【日本】って父上!」


国王「…その話も詳しく聞きたいが…

聞きたい事が多くあり過ぎて

日が暮れてしまう。また、後日にしよう…


……真澄さんよ」


「はっ…はい!!」


国王「手荒な真似をして、すまなかった

……ただ、どうしてもお主のスキルが

必要なのだ。この国を豊かにする為に…」



……私の力…何かあったけ?

魔法は使えないし、力なんて…


いくら頭をひねって考えても、

何も出てこなかったので、

己のレベルの低さに悲しくなった。


「…国王様…生憎ですが、

私…力なんて何も持っておりません」


…自分で言うのもなんだけど

言葉にして言うと更に悲しい…



国王「…何を言っておるのだ、

あるではないか…お主しかない

【お菓子】を言う物を作るスキルが…」


国王様が話途中…

突然、雛美火さんが遮った。



雛美火「…あの父上…そう言う事なら…

クモード王国に直接 使いの者を送ったり、

会議の際、父上の口からお伝えすれば…


誘拐して人質にする回りくどい事

しなくとも……」


国王「…………」


雛美火「……父上?」


国王「はっ…そうだった!!

あ……いや…それも考えておったぞ」


雛美火「…………(絶対うそですね)」


国王「とっ…とりあえず真澄さん!

今日はゆっくり休め、

そして明日【お菓子】という物を

儂達に用意させろ 良いな!」



そう言いながら慌てて

国王様は王室から出て行った。




……………………………………………………



…………………………………



…………………………



…そして…今、


私は牡丹城の地上二階の部屋にいる…



……が


「…………開かない…」


戸を引こうと引っ張っても開かなく、

地上の部屋でも閉じ込められている

状況だった。


外から木のつっかえ棒で、

閉められているのかな…


そして、窓もなく外が見れない。



「…………」


どうしよう、お菓子を作る件…

引き受けるんじゃなかった


…牡丹王国の街並みと食材を

ヒントにお菓子を作ろうかと思ったけど…

考えが甘かった…



『お菓子を作る為、

街並みや食材を見たいです!

外出してもよろしいでしょうか』


国王『何を言っておる!

駄目に決まっている、

食材の種類は豊富にあるから

外出なんてしなくても良い』


『そっ……そんな……(がーん)』



部屋に移動する前、

国王様に外出の許可をもらうと

したけど駄目だった。


…さすがに人質を初日で外に出すなんて、

よく考えたらあり得ないよね…


信用関係も得られてないのに、

人質が外出させろって言ったら

誰だって脱走と判断するよ




……どうしよう……


どんなお菓子を作れば……


牡丹王国の情報なんて、

牡丹城の部屋の一部、

雛美火さん達の服装だけ…


どれも…懐かしく和風な感じだった


それらの得た情報から

いつも作る洋菓子より

【和菓子】の方が良いのでは…と考えた


……ただ、和菓子と言っても

どのお菓子を作れば……



………………………


……………………


…………



うーん……駄目だ

全然良い案が思い浮かばない…


…こうなったら、和菓子を作るのが

得意な『あの人』に協力をえよう!


そうと決まれば!


急いで、手作りの手提げバッグから

スマートフォンを取り出して、

まず、電波が繋がるか確認した。


………よし!若干微量だけど繋がってる


そして、トークチャットを開き、

私は『あの人』……いや母さんに

連絡を入れた。



※ここから会話のみとなります

……………………………………………………


(チャット内容)



「こんにちは母さん!

今から相談したい事があるけど良いかな?」


緑「あら真澄!全然大丈夫よ

相談って何かしら?」


「今度は和菓子を作ってみたいんだけど

どんなお菓子を作れば良いか迷ってて……」


緑「うーん…そうね…

ちなみに和菓子を食べる人って

真澄のお友達?」


「ううん、今回は【鬼】なの

しかも、和風の服装をした…高貴な方たち」


緑「鬼?!鬼って角を生やした…」


「うっうん…鬼なの」


緑「成る程ね…真澄がいる場所は

色んな人達がいるのね……

鬼…鬼…そうだ!だったら

こんな和菓子はどうかしら!」




……………………………………………………



ピコン!…と


レシピと一緒にとある和菓子の名前が

送られた。



「……この和菓子、鬼にちなんで……


ありがとう母さん 明日この和菓子を

作ってみるよ…」


さっそく雛美火さんに

和菓子の必要な材料を伝えなくちゃ


母さんにはチャットでお礼を言ってから、

急いで呼び鈴で雛美火さんを呼んだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る