第2話 森から出た場所は…
オキニス「待ってください!!」
ガシッ!!
「…………っ!!」
こんなシチュエーション
元にいた世界だったら、
恋愛的な展開になってたのに…
…なーんて……
今は異世界、しかも森の中…
現実はこんな物だ…
「…………」
やばい やばい やばい
……何故こんな事に…
気を使ってさよならしたのに…
オキニス「さあ、もう逃がしませんよ」
私を逃げ出さないように、
ガッシリと手首を掴んでいる。
思いっきり振り解こうとしても、
力が強すぎて、腕すら動かせない。
…言葉も分かるし
…交渉…しようか…
1パーセントの望みをかけて
「……あ…あの…
お金が欲しいのでしょうか。
…それとも食料?
貴方にあげるので…命だけは…」
ほらっ…さっき、追っての人達に、
いっぱいの金貨をもらった事だし
これを受け取って
とっとっと立ち去ってくれれば…
たーち去れ! たーち去れ!
念じるようにオキニスさんを、
見たが…
オキニス「いや、俺はお金も食料も
いりません」
えっ?! お金に興味がないだと?!
なんて欲がない人…
オキニス「俺は貴方の名前と
何故ここにいるのか、聞くために
貴方を追いかけたのです。」
「…私の名前とここにいる理由…」
オキニス「 はい」
うーん……
…正直に言った方がいいのかな?
見ず知らずの人の話なんて
信じてくれるのかな
この場にあった嘘をついた方が…
……でも私、嘘つく下手だし
…嘘がバレたら……
ぶるっ…
想像しない方がいい…
うんっ!ここは正直に言おう。
「わっ私は 新川真澄と言います。
えー…とこの世界の住人ではなく、
気づいたらこの森の中にいたんです。」
オキニス「……気づいたら……」
「……すみません。いきなり
こんな話をしても信じるのは
難しいですよね……」
オキニス「なるほど……貴方は
魔法円で異世界転移したんですね。」
「!何故それを?!いやそれより…
私の話を信じてくれるんですか!!」
オキニス「はい、俺が住んでいる世界では稀に異世界転移してくる人間がいるので
…ところで…」
綺麗なエメラルドグリーンの瞳が
私を見据えた。
オキニス「貴方…住む場所も無いんですよね。これからどうするつもり
だったんですか?」
「とりあえず…森を出て、街を探そうと
思いまして…」
オキニス「…森から出るのに2日も
かかりますよ、それなら話が早いですね。」
「へっどう言う……」
言い終わるうちに、
オキニスさんは軽々と私を持ち上げ、
しかも…お姫様抱っこで私を抱えなおした。
「あああのっオキニスさんっ」
オキニス「じゃあ行きましょうか。
ーーーーー(呪文)。」
何かの呪文を唱えると…
森の中にいたはずなのに…
気づけば…
ガヤ ガヤ ガヤ
ガヤ ガヤ
街の中にいた。
………すごい…瞬間移動だなんて
人生初めて…
さっきは森の中だったのに…
今は街の中にいるなんて…
何か不思議な感じだ…
オキニス「さあ、着きましたよ。真澄」
あっ…いけない
オキニスさんに抱えられた
まんまだった。降りなきゃ。
これ以上迷惑かける訳いかないし、
何より私の体重がバレる…
「ありがとうございます!
私、重たいので降りますね」
オキニス「いいですよ。軽いので
いきなり異世界転移したから
疲れてるでしょう。このままでいて下さい」
「いや…でも…さすがに……
大の大人の私が抱えられているのは…」
オキニス「いて下さい!!」
ひえっ…顔が美形だから、
凄まれると迫力が……
チキンな私は何も言う事ができず
彼に従った。
「わかりました…重たかったら
下ろしてくださいね。あの…それと、
ここはどこでしょうか?」
オキニス「ああ、ここは俺が暮らしている
クモード王国です。」
クモード王国…
詳しくオキニスさんにその国と街について、
聞いてみると…
・ここはクモード王国の中で、
1番賑やかな都。(メチル街)。
オキニスさんもこの街に暮らしている。
・外観は中世のヨーロッパな感じ…
お城もある。
・メチル街は王宮の付近にあるため、
お偉いさんが多くいる。
・お偉いさんが多くいる為、
食が有名で、色んなお店がある。
・あとこれは私が見た感じだけど…
電気・化学の存在がなく代わりに、
魔法がある。
さっき箒で飛んでる人を
見かけたから分かった。
……という感じだ。
「……へ~なるほど…
…ところでこの街は……」
オキニス「なんでしょう?」
「お菓子のお店ってないんでしょうか?」
グルメの街ならお菓子屋さんが
1つや2つあるはずなのに、
何故か甘い香りがしない…
香辛料の香りや塩の香りはするのに…
もしかして………
オキニス「お菓子……?何ですかそれは?」
予感は的中……
ここは…ここは…
お菓子が存在しない世界だった。
嘘でしょ…私、
お菓子を食べるのも作るのも
好きなのに…無いって………
…いや、ここではお菓子という
名前ではなくて別の名前とか…
「あのっオキニスさん、お菓子というのは
このような食べ物なんですが
…ご存知ですか?」
ガサ ゴソ
黒いバックの中から、
お菓子を取り、オキニスさんに見せた。
……が……
オキニス「初めて見ました、
これがお菓子と言うのですね。」
不思議そうにまじまじと眺めていた。
ちなみに今回のお菓子は
チョコレートマフィンだ。
「…………」
そんな…本当に無いんだ。
お菓子が……
ガクッ…
オキニス「……真澄?!」
ショックすぎて、
うなだれてしまった。
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