第1話 出会ったのは人間ではありませんでした。
……えっと…
イケメンだし目の保養にはなるけど、
この人はコスプレをしているのかな。
じー……
いや、よく見ると尻尾は
ゆらゆらと動いているし、
耳なんてピクピクしている。
作り物だったらこんな動きはしない、
この人は本物の……獣人だ。
うわゎゎ、すごい!!初めて見た!
本だけの世界だと思ってたのに
私の目の前にいる。
何の動物なんだろう。
見た感じ白ギツネかな?
それよりも挨拶した方がいいのかな?
「………っ」
…と口を開いた途端
向こうの方が早かった。
???「………綺麗」
「…………へ?」
今なんて言った。私の聞き間違え?
この森に綺麗な物なんて…
…と言うかあの獣人さん私に
歩み寄って来てる!?
なんで? どうして?
はっ…まさか!
金品・食料を奪うため、
私の方に向かって来てるとか
それは困る!この黒いバックが
無くなったら、私の人生ここで終了よ!!
逃げよう
ズリ…
片足を後ろに下げ今にも
猛ダッシュで逃げようとした瞬間
追って1「どこだ!!オキニス・ブランシェ!」
追って2「まだ、この辺りにいるはずだ探せ奴を逃がすなぁ!]
「「 !! 」」
ガサ ガサ ガサ ガサ
何か近づいて来ている
それも複数人。
…これはさっきより、
とてもよろしくない状況に
なっているんじゃ…
あと…オキニス・ブランシェって
言ったけど…この獣人さんの名前だよね。
ふっとオキニスさんとやらの方を
見ると…
ガシッ!!
いつの間にか私の前にいて
肩を掴まれた。
「ひぇっ!!」
オキニス「すまない!手を貸してくれ!」
ギリギリギリィ…
いっ痛い!力が強い
肩がもげるっ…
「わわ分かりました!協力します!」
とりあえず肩を掴んでいる
手を離してほしい!脱臼するから!
オキニス「 ありがとう恩にきる!」
パッと肩に置いていた手を離して
茂みに隠れた。
その直後…
追って1「ここかオキニス!!」
私の前に複数、甲冑を男性が現れた。
追って2「…いや…女だ」
追って3「おい女!この辺りに白い髪の
目が緑色の男を見なかったか?」
こわっ!ゴリラだ!!
ガチムチ3人が私を囲ってるよ。
怯えたり、挙動不審になったら勘づかれる
ここは私の迫真の演技で!
「よかった!貴方達が来てくれて!
その方は私の食料を盗もうとしてっ
うっ…うぅ怖かったです。
その方でしたら…あちらの方に
逃げて行きました。」
…と言って、顔を覆いながら、
南の方向へ指を真っ直ぐ指した。
どっどうだ!私の演技は!
これで巻けるとほんの少し思っていても
内心は冷や汗+心臓がバクバクとうるさい。
追って1「 ちっ!逃げ足が速い男め…
ありがとうな女!行くぞ!てめらっ」
追って2「おー!!あっ女、
お礼にこれをやる!受け取れ」
ぶんっ!
追っての1人が私めがけて、
何かを投げた。
ポスッ
それを受け取って見ると
麻の袋で中身を確認したら、
何と沢山の金貨が入っていた。
すごい…眩ゆい輝きをほとばしってるよ…
追って3「じゃあな!」
ドタ ドタ ドタ ドタ
こうして、追って達は物凄いスピードで
南の方向へ走っていった。
………しーーん……
よし、もう誰も居ないかな?
念のため辺りを見渡して…
……大丈夫ね。
「…追っての人達はもう行きましたよ。」
ガサ ガササ
オキニス「ありがとう、助かりました。」
オキニスさんキョロキョロと辺りを見て
茂みから出てきた。
「…………」
……ほあー…相変わらず美形
背も高いし、顔も整ってる、髪も綺麗い
きっと世の女性達にモテるんだろうな…
羨ましい!
じー……と彼を見ていたら
オキニス「……あの…俺の顔に何か付いて
いるんでしょうか…///」
少し顔を背けた。
あっ…しまった…
流石に美形さんだからって
顔をじっくり見ていたら失礼だ。
「すっすみません!
あまりにも美形だったので、
つい…見惚れてしまって…ごめんなさい」
オキニス「……!……いえ…
気にしないで下さい。」
あれっ?ほおが紅潮してるような…
ややややっぱり、おおお…怒ってる…
そりゃ…人の顔を許可なく
ジロジロ見てたら気分は悪くなるよ。
………このまま私がここに居たらマズイよね
更なる怒りを増幅させるかも知れない。
オキニス「……あの…」
「よ…良かったですね!
もうこれで大丈夫です!
じゃあ私はこれでさよなら!!」
オキニス「 えっ ちょっと! 」
面倒くさい事は回避だ!
走れえぇぇぇ!!
全速力で私は走った。
ふははっ!これでも私
50m走は7秒台で
逃げ足だけは早いのだ。
さあーて…離れたか……ファ!!
余裕ぶっこいて後ろを振り向いたら、
目の前にオキニスさん
恐怖そのものだ…
そして1分も立たないうちに
私はオキニスさんに捕まりました。
…私どうなってしまうんだろう…
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