間抜けな外道犯罪者

katsumi

第1話 約束の強盗

俺は不良と呼ばれる人間だ。悪い事をして少し楽しむのが1番良いと思う。


弱そうな人間からカツアゲしても最近じゃあ財布の中に金を持ってるやつが少ない。キャッシュレス?そんなのが流行ったせいもある。


俺は現金がほしい。そして仲間を呼び3人で強盗する計画を立てる。

まず店が開いた朝9:00に店を襲うことにした。

「金を出せ!」

そう3人でナイフを突き出し店主に言う。

「ちょっと待てあんたら!今レジの中には盗むほど金は入ってない!」

「嘘つくんじゃねー」

「嘘ついてないレジの中を開けて見てみるか?」


すると本当にレジの中にはおつり用として小銭が少し入っているだけ。それもそのはず開店と同時に襲撃して商品すら売ってないのに金があるわけないのだ。

こんなものを盗んでもはっきり言って仕方がないのだ。

「オヤジ!いつになったら金入るんだ!」

「夕方6時半だ6時半になったら大丈夫だそしたら言う通りにする」

怯える店長のオヤジ。


「オヤジ本当だろうな?」

「あぁ、約束するだからナイフで俺を今殺さないでくれ」

声を震わせそういった。

「解った。約束だぞ」

俺はそう言い、オヤジと約束を交わした。帰り道仲間が問う。

「あのオヤジ約束守るかね?」

「守るだろ。ちゃんと6時半と言い切ったんだから嘘はつかないだろう」


―そう、この連中は意外にも約束という言葉には信用するお人好しなところがある。人は約束したら必ず守るものと小さい頃から教育された人達らしい。


不良と呼ばれているが、小さい頃の教育が良かったのか妙に人が良い連中である。

お金を盗ろうとしているのは、働くのが面倒だからという理由なだけで、別に極度の貧困とかではなかったらしい。やがて時間を潰し終えた連中はまたあの店にやってくるが時間が早かった5時である。―


「オヤジもういいだろう!金をよこせ!」

「お前ら人の話聞いていたのか!6時半って言っただろ!売り上げの集計をこれからするんだよ。


―冷静に考えてみるとこの強盗相当馬鹿である。同じ店に襲撃し、そして店長であるオヤジに怒られてしまい帰る強盗たち。やがて来る約束の時間の6時半また訪れる。ここまで間抜けな犯罪者も珍しい―


「オヤジ約束通り来たぞ!金を出せ!」

そう言ってナイフを突き出した俺は私服警官に腕を掴まれる。

「いでででで!」

「警察だ!逮捕する!」

「オヤジ警察呼びやがったな!」

「警察を呼ばないなんて俺は言ってない」

「ぬあ!確かに!」

金欲しさに警察に掴まれ、取り調べを受けた時も何で本当に6時半に来たんだ。と言われたので、それがオヤジとの約束だったからと俺が答えたら、警察は呆れて何も言わなかった。


警察に捕まって腕を痛めてしまったが、これでもう俺はお金を盗ろうという考えは捨てることにした。

これからは頑張って働いて稼ぐ事にするよ約束する。他の仲間もちゃんと働いて稼ぐって言ってたからきっと彼らもここを出たら真面目に働くんじゃないかな。

彼らも言ってた。約束するってね。



ー完ー









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る