6/27 『くるまの娘』宇佐見りん
6月27日。今日も猛暑。部屋の中で死んでいる。
本を読もうと思った。昨日みたいに、たくさん読めれば、何かをした気分になれる気がした。でも、無理だった。早朝に目が覚めた後、昼過ぎまで寝てしまった。お昼ご飯は食べたけれど、3時を過ぎるとまた、知らないうちに眠っていた。夕方目覚めた。トイレの中が赤くなった。生理が来ていた。お腹が痛くて、また8時頃まで眠っていた。
本は、思ったように読めなかった。それでも1冊は読み終わった。宇佐見りんさんの『くるまの娘』。傷つき、傷つけあう家族の話。宇佐見さんの描く家族は、重々しく生々しく、息ができなくなりそうなほど苦しい。時々愛情の結びつきみたいなものが見えて、それでもやっぱり激しい暴力や加害性があって。それでいて、主人公は家族を見捨てられない。そういう人間のジレンマを描くのがうまい人だ。
宇佐見さんの小説は、全部の言葉に力がある。説得力がある。お気に入りの言葉を書き留めておくノートに、一言一句すべてを書き留めたくなるくらい。言葉に血が通っている。さらさらした真っ赤な血ではなく、どろどろと黒く濁った、静脈血のような血だけれど。
この人は私と同い年だ。同い年で、芥川賞作家で、私が書きたいテーマを誰よりも上手に描く人だ。私が小説を書く意味ってなんだろう。この人が私より上手に書いてくれるじゃないか。同年代で、私はどうしてこう落ちこぼれて、この人はこんなに成功しているのだろう。
彼女を見ていると、すごく悔しくなる。それでもこの人の書く言葉が好きで、私はまんまと新刊を買って、読んでしまう。
悔しい。ふがいない。
はやく一人前になりたい。
腹痛に横たわってぼうっとしながら、そんなことを考えている。
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