君は誰?僕も誰?
ぐらにゅー島
第1話
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
メロスの側にたった読者は、王様を「悪」だと思うに違いない。
…では、王様は本当に悪役なのか?
王様だって、他人を信じられなかったから邪智暴虐の王になってしまったんだ。もともとは良い人だったかもしれないじゃないか。
じゃあ、元々の王様と、今の王様は同じ人なのだろうか?
人は移り変わっていく。くるくると、季節のように。
☆
朝起きたら、彼女がいた。
代名詞として「彼女」と言っているのではない。いわゆる恋人、という意味合いで使う「彼女」がいた。
「やっと起きたね。」
烏の濡れ羽色の長い髪に、真っ白なワンピース。
彼女はベットに横たわる僕の髪をふわりと撫でる。
「もう、一ヶ月も寝込んでたよ。」
そういうと彼女はほのかに僕に笑いかける。
「ねえ、私の名前、呼んでよ。声が聞きたいんだ。」
彼女は僕にお願いをした。それなら僕にも答える義務があるんだろう。
「君は誰?」
僕には記憶が無かった。今までのものが、全部全部全部。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます