雨の日の思い出

@NONAKI

第1話 告白

俺に初めて彼女が出来たのは中学2年生の夏。


彼女は同じ部活の同級生。


彼女のナツは明るくて素直で優しい。

さらに可愛いから、俺にはもったいないくらいだ。


告白された時は、驚き過ぎて返事が出来なかったのを覚えている。

.

.

.

中学2年生の夏休み、明日は試合。

部活終わりにナツが声をかけてきた。


「リョウ!ちょっといい?」


試合のことかな?「なに?」


「ちょっとあっちでも良い?」という声が

緊張しているように感じた。


ナツの後ろを歩く、着いたのは下駄箱の死角。


沈黙が続く。


帰っていくみんなの声が遠くから聞こえる。


いつもは明るくて元気なナツが、

何も言わずに落ち着かない様子。


この空気に耐えられず、俺は口を開いた、

「なに?なに?深刻な話?

明日試合やから早く帰ろや、どうしたん?」

なるだけ明るく聞いた。


ナツは慌てて口を開いた

「あのな、私…リョウのこと好きなんよ。

でも、リョウが私のことそんな風に見てないのわかってるから、今返事いらんから。

ちょっとだけ考えてみて。お願い!

時間とってくれてありがとう。

明日試合頑張ろうね!バイバイ!」

早口でそう言ったナツは今までで1番可愛かった。


走り去るナツの背中がどんどん小さくなる。


驚き過ぎて何も言えなかった。

まさかナツが自分のことを好きだとは

考えもしなかった。

ナツは気付いてないかもしれないが、

部内でナツのこと好きなやつが何人かいるのに。

ナツはモテるのに、気付いてないのかな?


なんで俺だったんだろう。

.

.

.

告白されてから1週間。

まだ返事ができずにいた。


正直わからなかった。


誰かと付き合ったこともない

人を好きになったこともない

そんな俺がナツと付き合って良いんだろうか。


返事をしていないからなのか、

この一週間

ナツが俺に話しかけてくることはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る