━passage(通路)2
互いの星を繋ぐ異次元の道。その隙間を葵竜と沙夜の手がかりを求め進んでいると、彼らの前に星の数程の魂が現れる。
闇から向かってくる
大海原の異空間を一直線で突き進むと云う、こんな無重力の世界に三人で化け物と化した者達を相手にする。普通は無理な話だろう。
‥‥だけど、彼らはこんな所で犬死にする気も、負傷する気も無かった。
目の前に漂う緋翠と光紫と碧娥、それにヒョウの姿を捕らえた
彼が真っ直ぐ向かってくると予測する
前衛が化獣のような断末魔を上げると彼らの士気は崩れ、そこに猛獣のように突き進んだ碧娥が大気の風と共に
その反対側でヒョウを庇うように前に立つ緋翠と、高速の速さで来る
牙を剥き出しに喰らいつこうとする
「!?」
叩き割った
「うぅあっ‥‥!」
呻き声を漏らす緋翠は仄暗い魂に捕らわれていき、身を硬直しながら苛まれていく‥‥咄嗟にヒョウが叫んだ。
「緋翠!」
《スタルオ》を手に近づくヒョウに白い魂は何故か離れていき、緋翠は自我を取り戻した。
だが
「はぁっ!!」
まるでリボンのようにクルクルと回転させた
緋翠はさっき受けた仄暗い魂のせいで心に闇が残ったままだった。
「緋翠、ここで優しさは不要だ」
荒く呼吸をする緋翠の横に忽然と現れた光紫は両手で
「解ってる。‥‥でも、気づいたわ」
「何がだ」
光紫がまた姿を消すと、どす黒い顔をした碧娥が緋翠の横に並んだ。
「私はヒョウと一緒にあの中を突っ切る」
「またそんな無謀な事を考える。そんな事をして
「ヒョウが持ってる《スタルオ》は僅かでも彼らの魂が襲うのを防ぐ事が出来るの。だから‥‥」
どちらも長い髪がこの世界で
「
「光紫」
緋翠は光紫に声をかけると、彼は横目で緋翠に目を向ける。
「早く此処から抜けたいから、一気にやるわ」
「解った」
光紫はそれに承諾するとまた消えるように向こうへと行く。
「行くわ、ヒョウ」
緋翠にそう言われヒョウも覚悟した顔で頷くと、三人は更に来る
光紫は無重力で
弾けようとしていた世界の全てを覆い、異次元は大きな渦となると、緋翠はその中にヒョウと共に飛び込んだ。
向かってくる
魂の渦を通り抜けていく中で、緋翠は
‥‥緋翠は何故か心が痛かったが、その先の違う輝きを目にすると━━━。
彼女は突然驚くように表情を変えた。この先に‥‥全てを動かす《スタルオ》が‥‥沙夜がいる。
そう思った途端━━━、
「私は、先に行くわよ!!」
緋翠は
「緋翠ーーー!!」
碧娥は叫んだ。
だが‥‥気がつくと、二人は闇の中へと呑み込まれていった━━━。
それから、どれだけ時間が経ったか解らない。ヒョウは、無意識に眼を開いた。
よく解らない雑音の中で自分の鼓動だけが聞こえ‥‥前のめりだった状態から上半身を上げると、すぐ近くに緋翠が倒れていることに気付いた。
「‥‥緋翠‥‥緋翠!」
彼は緋翠の名を何度も呼んだ。しばらくすると彼女は眼だけをヒョウに向ける。
「‥‥ヒョウ‥‥ここは‥‥‥‥‥」
ここがどこだか解らない。‥‥異次元のはずであるが、今はあきらかに地面の上にいる。
空には星、星、星。星の平原に漂うようであったが二人はふと、はっと何かを見上げた。
そこには、星幻の世界に立つ青年━━━。
そして、緋翠は葵竜に会った。
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