第10話 優香と会うことになりそうだ
翌朝、高速道路を走る帰りの車の中で、助手席に座るマーイは楽しそうに外を眺める。「あれなぁーに?」「あれなぁーに?」と、ことある毎に聞いてくる。
昨夜、マーイを押し倒し胸にしゃぶり付き、それから強引にキスを迫ったのに全く気にしていないようだ。
マーイの胸、凄く綺麗だった。
キスしようと顔を近づけ付けても「ほよ?」みたいな無垢な顔してて……、いや、正直めっちゃ可愛かったが。俺はどんな顔してたんだろう……。
そんなこのを考えながら車を飛ばしているとマーイがトイレに行きたくなったのでパーキングに寄って一息つく。
俺はベンチで缶コーヒーを飲みながらスマホを開いた。優香からLINEが来ている。
【今度福島に会いに行っていい?】
優香は俺の住所を知らない。長谷川に聞いていたみたいだし間違いないだろう。YouTube動画を見て特定するのも不可能だ。
しかし、俺はYouTubeを卵の販路の一つにしようとしいて実際に養鶏が始まったら養鶏所の住所や電話番号を掲載した買い物ができるHPをリンクに貼ろうと思っている。つまり、遅かれ早かれ居場所はバレるのだ。
YouTubeを始める時、優香に居場所が特定されることは当然考慮していた。だがここまで早くバレるとは思っていなかった。
つかいつも「相談しいことがある」とか「会って話したい」とか言ってくるけど何を話したいんだ?肝心の内容は言ってこないんだよな……。まぁフルシカトで全く返事を返さないから言い難いのかもしれんが。
俺は優香に返信を打つ。
【会ってどうするの?】
【久しぶりだし色々話そうよ】
いや意味わからん。今更何を話すんだよ。そう思っていると続けてメッセが来る。
【綾も連れて行くよ。会いたいでしょ?】
綾……今1歳半になるのか。もうお喋りもできるのだろうな……。
俺は父親に甘やかされて育ったから、綾が生まれた時はトロットロに甘くして育てようと意気込んだ。それもあって隠しカメラで優香の不倫を知った後、綾の出自に疑問を抱きつつもDNA鑑定をしようとは思わなかった。
情けない話、優香にセックスを拒否られ「エロい店に行け」と言われてこの女とはやってけないと思ってから、離婚の意思を決定付ける為にDNA鑑定をした。綾を離婚理由の一つにしたのだ。
当時、葛藤や未練でかなり辛かったが今はDNA鑑定して良かったと思っている。
俺の子供じゃないのに養育費を払い続けるとか、冷静に考えたら意味がわからない。本当の父親から払ってもらえよって話だ。まぁただ間男は優香とは遊びだったぽいし、その後どうなったのかは知らない。興味もない。
離婚したのが5月末であれから半年経つ。もういい加減、綾に関して俺の気持ちに整理がつき、今更会いたいとは思わない。
【もう綾に会う積りはないよ。法的にも遺伝的にも俺の子供じゃないだろ】
【ふーん 綾の写真欲しい?】
話聞いてるのか?会わないって言ってんだろうが!
【いらないよ。で、いつ会うの?】
何にが目的だか知らんが大方金の相談だろう。
今まで優香に返事をしなかったのは単純に面倒くさかったからだ。本気でもう一生関わりたくないと思っている。ほっとけば勝手に連絡が途切れると思っていたけど、こうもしつこいならコイツにとどめを刺す必要がある。
【毎日空いてるからいつでもいいよ~】
マジかよ……、仕事してないの?間男の奥さんから慰謝料請求されている筈だけど。親が払ったのかな?いや、優香の親は生活苦しい……、俺に200万払うときにお義母さんが貯金全部って涙ながらに言ってた。
【因みに福島と埼玉は電車賃往復15,000円かかるけど】
【え?そんなに高いの?】
【新幹線使わなくても10,000円近くかかる】
【涼、出してくれるでしょ?】
この子頭に虫湧いてるのかな?なんで会いたくない俺が金出すんだよ。
【出さないよ。会いたかったら自分でお金払って来て】
当然だよね?俺当然のこと言ってるよね?
【今全然お金なくて、すぐには行けない……】
よほど困ってるんだな……。長引くのは面倒だし、早く片付けてすきっりしたい。どうするか……。
【近々都内に行くから、その時埼玉寄ろうか?】
【ほんと!それなら助かる♡】
俺も早く君にとどめを刺して、俺達の関係を終わらせたいからね。
【でも、なんで東京行くの?】
【今度、家買うんだよ。一緒に住む人と内見に行って、良かったら東京の売主さんと契約交わすからその時東京に行く】
【え?涼家買うの? 一緒に住む人って女?彼女いるの?】
【家はほぼ確定で買う予定。めっちゃ可愛い女の子w俺には勿体ない美女だよ】
って送ったら、返事が来なくなった。
あっ、彼女ではないか……まぁいいや、説明する義理もない。
「リョウ、おしっこ 出た」
マーイがトイレから帰ってきた。この子はいつも普通におしっことか言って全然恥ずかしくないようだ。最初は俺の方が恥ずかしかったけど最近は慣れてしまった。
「いっぱい出たか?」
「うん♪」
「よーし、じゃぁ出発しよう。帰りにあの家寄って中見ていこうよ」
「いっこぉー♪」
「「おおぉー♪」」
俺とマーイは謎のハイテンションで空へ拳を突き上げるのだった。
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