いつか誰ぞのスワッピング
フー
第1話
あくる日、俺は死んだ。
それも
死に方も奇怪。——持ち込んだゲームソフトの展開そのまま死亡。パラレルルート八五もある
タイトルは「ヤンデレ・デッド・トゥルー
そのメインヒロインが、俺の心臓を、掻っ
バタリ、とリアルかヴァーチャルか分からず死を遂げた。
「……ここまでは、まァだ理解できるよな。なにせ持ち込んだ記録
よにん。その内、アシンメトリーに髪型を
さて、そこに異を
「あのね? 普通、なんでも持ってきていいって……そう言われて、ヤンデレヒロインがめためたに主人公を斬り殺すゲームは持ち込まないのよね? 何、被害者になりたいの?」
「——ならお前もよっぽどだ。たしかに、電子メールにゃ〝記録媒体であるならなんでも再現してみせましょう〟って売り文句があったがな……。
ふつう、
「ほっ、ほぉーん? アナタもまた理解できませんのクチ? 元気
女性、サイドアップにした黒髪と、主張のすくない
年齢につきましては、さっきポケットから落とした身分証明書が物語っていた。
「…………ハァ。どのみち、どう建設的にことを運ばせようと考えても無駄ってことだな。なにせ社外秘のARシステムにおけるデバッグバイト募集——それにつられた、まぬけな死なんだから俺たちは」
「そうよね……。どれだけ
男はしょうことなし、と目を伏せる。
女は長くほそい息を吐き出して、チラリとかたわらを見やる。
「本当にゲーム・アニメのセカイから飛び出してきているんだもの。この子たち」
男のとなりには、
女のとなりには、黒を基調にした改造制服のヤンデレ。ややハイライトに欠けた
そう。彼女らふたりは、
「お前を
「アナタに付きっきりのロリっ子は、私が愛したアニメの」
すり替えマジックにしてはタチが悪い。いやそもそも、死後のセカイの筈、どうしたって好きなキャラクターが見ず知らずの誰かの
そして、さっきから互いに感ぜる隣からの熱……
「俺たちは死んでいるようで死んでいない」
「私たちは自分の推しキャラを相手にもっていかれている」
いまだリアルワールド。おもわず目を奪われし
そこで、ふたりはやや息を吸い、
「「俺私の推しッ、返せバカヤロぉぉぉおぉおおぉおッッッ‼︎」」
ここばかりは譲れない、と吠え猛る両者。
たまらず身を震わせたお隣の幼女、あるいはヤンデレになど目も暮れず。
——人類進歩たりえる至上実験にまぎれた変質者ふたりぐみは、いがみあった。
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