あなたのお耳にダービー馬!~女の子が耳元でダービー馬を囁いてくれるだけの話~
爛々
第1話 ナカノコールから連覇まで
「……テストで負けた罰ゲーム、何でもするって言ったけどさ……こ、こんなことするの、本当に? わ、私こう言う事するの初めてだから、その緊張するし、は、恥ずかしいんだけど……」
「え、普段はもっと恥ずかしいことしてる……そ、そうだけど、そう言う事言っちゃダメだよ! だって、こんな事やった事ないし、私だって知識とかあいまいだからあってるかわかんないし……も、もしかして君はこう言う事したことあるの? 私とは別の女の子とこういう事……そ、そっか、ないよね、良かった……じゃあ、君も初体験だ。私と一緒で初めての体験ってことだ……えへへ、そう思うと不安じゃなくなってきた、かも……えへへ」
「え、早くしてだって……もう、ムードとかそう言うのも考えてよ! そう言うとこ、私は好きだけど、でも君の悪いところだよ……わかった、今すぐしてあげる。で、でももう一回言うけど私、こう言うの初めてであってるかわかんない……え? そ、そっちの方が嬉しいって? も、もう、君は本当に変態さんだね。普段からもそうだし、こんなこと頼む時点で分かってたけど……本当に変態さんだよ……そういう所も好き、何だけど……も、もう変な事言わせないでよ、バカ! は、早くしてあげるから準備して!」
「……こ、これでいい? 痛かったり、くすぐったかったりしない? ちゃんとできてる……OK,大丈夫なんだね、本当に大丈夫だね……よし、じゃあ、その、は、恥ずかしいけどやらしてもらうよ……そ、そのあんまり期待はしないで欲しいな。上手くできるかわかんないし、君のこと満足させれるかわかんないけど……でも全力でするから、その君も私の事……ああ、やっぱり今のなし! もう始めるからじっとしてて! ほら、そのままじっと……よし、それじゃあ始めるね……ハァハァ……アハハ、やっぱり緊張しちゃうね。でも君のお願いだから……」
「1990年 アイネスフウジン」
「……あ、ビクッってなった。身体とかお耳とか全部……アハハ、興奮してるんだ。気持ちいんだ、耳元でダービー馬囁かれるの……本当に変態さんだね、君は。でも嬉しいな、ふふふっ……それじゃあちょっと感想も言うね。父シーホーク 母テスコパール……お父さんは前の年のダービー馬も出してる芦毛の名種牡馬だね。主戦騎手は中野栄治騎手で、同期はメジロ最強世代、ダイタクヘリオス……あ、またビクッってなった。大好きだもんね、ヘリオスちゃん。ウェーーーイ! ……ごめん、うるさかったよね」
「……朝日杯をあのマルゼンスキーのレコードと並ぶタイムで優勝、年明け共同通信杯を3馬身差快勝、でも弥生賞皐月賞は4着、2着……その結果本番ダービーでは3番人気。中野騎手の『アイネスフウジンを一番人気にしてください』という言葉は有名だね」
「迎えたダービー本番、東京競馬場は20万人超満員……ハナを主張したアイネスフウジン、ハイペースで逃げたアイネスフウジンはそのまま先行勢追い込み勢を完封して2分25秒3のダービーレコードで先頭を駆け抜ける……ヘロヘロになっていたアイネスフウジンと中野騎手には超満員のスタンドから『ナカノコール』が送られ祝福された……競馬がギャンブルからスポーツになった瞬間だね……この瞬間、ナマで見たかったな」
「……え、君の名前もコールしてほしいって? ……それは、ダメ。だって、そんなことしたら、シたくなっちゃうし……あ、何でもない何でもないよ。 つ、次の年行くよ……」
「1991年 トウカイテイオー」
「父シンボリルドルフ 母トウカイナチュラル……お父さんのシンボリルドルフは言わずと知れた無敗の3冠馬。お母さんのお姉ちゃんはオークス馬で武豊に初めての重賞をプレゼントしたトウカイローマン……無敗で挑んだ皐月賞を大外枠から優勝、そして迎えたダービー。こっちも大外枠だったけど3馬身差の快勝……骨折の影響でお父さんと同じ3冠馬にはなれなかったけど、その後もTM対決、JCでのお父さん以来の日本馬での勝利、そして骨折明け364日ぶりでの有馬記念制覇……怪我や病気に悩まされたけど、本当に記録にも記憶にも残る名馬だね。後イケメン」
「私たちの子供も、これくらい凄い子にしたいね……え、まだ早い? ふふっ、どうかな、それは案外……なんちゃって。次行くよ」
「1992年 ミホノブルボン」
「父マグニテュード 母カツミエコー……お父さんは血統で種牡馬入りしたけど、短距離で活躍する馬を結構出してるね。ちなみにミホだけど栗東のスパルタ調教師・戸山厩舎所属だよ。ムキムキでカッコいい馬だね」
「坂路の申し子と言われるくらいに坂路調教をこなして、お父さんの影響で短距離馬と呼ばれることもあったけど、スプリングステークスを7馬身差快勝、無敗で皐月賞も制覇、ダービーは12秒台精密サイボーグラップでもう大丈夫な4馬身差快勝……菊花賞は色々あってライスシャワーの2着に敗れて無敗の3冠馬になれず、そのまま故障で引退になったけど、鍛えて強くなった常識外れの最強逃げ馬……こう言っても過言じゃないんじゃないかな?」
「……君ももうちょっと体鍛えた方が良いと思うよ。今もカッコいいけど、鍛えたらもっと……あ、今すぐはダメ、今は私との時間でしょ? これが終わったら一緒にいっぱい、『運動』しようね……次、行くよ」
「1993年 ウイニングチケット」
「父トニービン 母パワフルレディ……お母さんは超良血、お父さんも期待の新種牡馬の凄い血統だね……主戦騎手は柴田政人騎手で柴田騎手をダービー初勝利に導いた馬だね」
「弥生賞快勝から抜けた1番人気で迎えた皐月賞を一度同舞台で下したナリタタイシンの4着……でもBNW対決と呼ばれたダービーでも1番人気に迎えられて迎えた本番。BNWそれぞれの騎手の思いも交差する中、最後の直線。3つのプライドが激突する瞬きすら許さない攻防の仲、最後の直線を制し、一番最初にゴール版を駆け抜けた……柴田騎手にとっては19回目の挑戦で初めての制覇になり、府中に響き渡る『マサト』コール、伊藤調教師の『ダービーをプレゼント出来て嬉しい』の言葉……素晴らしく美しいダービーの物語だね」
「……え、私の好きな人3強が聞きたい? 何それ、どう言う事……まずは弟でしょ、妹でしょ……そして最後に一番大好きな君! ……ふふっ、最後に呼ばれたから不安だったの? もう、そんなんじゃ、私との結婚のチケット、うまく掴めないよ……え、それは絶対に逃さない、一生に一度の晴れ舞台だから……もう、次行くよ」
「1994年 ナリタブライアン」
「父ブライアンズタイム 母パシフィカス……BNWのB、ビワハヤヒデの弟君だね。結局お兄ちゃんとの対決はかなわなかったけど。史上5頭目の3冠馬にして20世紀最強の名馬ともいわれる、まさに最強の『シャドーロールの怪物』だね」
「この馬については何を言っても薄っぺらくなるからあまり語らないけど、本当に強い馬だよね。ダービーはボコボコ馬場を大外回して5馬身差、菊花賞では兄のレコードを更新する7馬身差快勝……私が一番好きなレースは『ツインターボの先頭はここで終わり』でおなじみの有馬記念だよ」
「……私が一番好きなシャドーロールの馬はだれかって? ふふふ、当ててみてよ……アパパネ? アーモンドアイ? うんん、違う、それは君が好きなのでしょ?」
「正解は……ブラストワンピース。次行くね」
「1995年 タヤスツヨシ」
「父サンデーサイレンス 母マガロ……日本を席巻するサンデーサイレンスの初年度産駒だね。同年度のサンデー産駒にはフジキセキ、ジェニイン、ダンスパートナー、マーベラスサンデー等々……すごいね」
「トライアルでの敗戦で色々不安もあったけど、フジキセキのいない皐月賞では上がり最速2着、ダービーでは1番人気に支持されそのまま勝利……タイムがその年のオークスより遅いとか、その後連敗して菊花賞ではオークス馬に先着されたとかで『オークス馬より弱いダービー馬』『最弱のダービー馬』なんて呼ばれることもあるけど、ダービーは『最も運のいい馬』が勝つレース……ダービーの時に一番強かった馬が勝つレースだから、ダービー馬に貴賤はないと私は思うよ」
「……どうしたの、急にダンス踊りたいって? あ、もしかして私をダンスパートナーにしたいって……もう、君もオークス馬の話してるじゃん。それにこの後はダンスじゃなくて二人でもっと楽しくて気持ちいい『運動』を……もう、言わせないでよ。次行くよ」
「1996年 フサイチコンコルド」
「父カーリアン 母バレークイーン……ノーザンダンサーの3×3の結構な近親配合だよ。ちなみに名前のコンコルドは超音速旅客機じゃなくてフランスの広場の方だよ。つまり音速の末脚じゃなくて広場の末脚だね。日本のラムタラの方は血統含めて近いところがあるけど」
「体質が弱くて輸送をすれば肺炎を起こし、トライアルでは発熱……結局2戦2勝でのダービー参戦。そしてレースでは一番人気で完璧な競馬をしたダンスインザダークをものすごい末脚でかわして優勝……戦後史上最速3戦でのダービー馬の栄光を手にしたね。その後は怪我もあって勝てなかったけど、菊花賞は3着だし……ダンスインザダークともども怪我無く走っていればどうなったか、タラレバを言いたくなる馬だね」
「……体質の弱い馬の話してたら昔のこと思い出しちゃった。昔ずっと入院していた私のところに君は毎日来てくれたよね? 毎日色々楽しい話してくれて、私に元気くれて……ありがと、今の私がいるのは君のおかげだよ……こっちのセリフだよ、それは……もう、バカ、えっち! 次行くよ、つぎ!」
「1997年 サニーブライアン」
「父ブライアンズタイム 母サニースイフト……主戦の大西騎手とのコンビで2冠馬に輝き、ダービーインタビューの『1番人気はいらないから1着が欲しい』が有名な逃げ馬だね。ノーマークの11番人気から皐月賞制覇、フロック視されて6番人気からの完璧な気持ちのいい『逃げ』でのダービー制覇……同期には同じ逃げ馬にして最強候補のサイレンススズカ、マチカネフクキタル、シルクジャスティス、メジロブライト、ダービーには出てないけどステイゴールド……まさに『フロックでも! 何でもない!』2冠馬だね! この馬も怪我しちゃって3冠には届かなかったけど、怪我をしなかったら、3冠、取れてたかな?」
「……そうだよね、君はフクキタルちゃん好きだもんね。ふふっ、君のこと占ってあげようか……ふんふん、なるほど。君は私の1番人気にして1着の人です! ずっと君のこと後ろでマークしてたよ、病院でも、退院してからも……だから絶対に私からは逃がさないよ、覚悟しててね……ふふっ、次行こっか」
「1998年 スペシャルウィーク」
「父サンデーサイレンス 母キャンペーンガール……スぺちゃんだね。出生の秘密とかは君も知ってるよね? 最強世代のダービーを5馬身圧勝した馬にして武豊が夢を掴んだダービー初制覇、ステッキ落としたけど……菊花賞ではセイウンスカイの世界レコードに、JCではエルコンドルパサーと言った同期に敗れるけど、翌年は春秋天皇賞制覇にエルコンドルパサーのリベンジを果たすJC制覇、有馬記念でのグラスワンダーの死闘。ライバルに負けたレースも多いけど、どれも印象的なレースでこれまた記録にも記憶にも残る馬だね。たまに変な負けもあるし」
「それに当時の古馬王道G1にもすべて出走してるし、タフな馬でもあったんだろうね……まあ、ステイゴールドとか言う全部出た上でもっと走ってる馬もいるんだけど。とにかく種牡馬としても大成功してるし、本当に『スペシャル」な馬だね。これからもずっとスペシャルウィークの名は血統表に残り続けるだろうね……顕彰馬にはなれなかったけど」
「……え、スペシャルウィークは種付けが結構嫌いだった!? な、何の話……え、君がそう言う事嫌いって言ったらどうするって……な、何それえっちなの、えっちさんなの? それにそんなの言わないくせに!」
「……え、本当は嫌い? 嫌いだけど、わ、私が無理やり毎回4回も5回も……そ、それなら私はメジロドーベルになるよ! その、スぺちゃんがドーベルに2回戦を求めたように、君が私を求めてくれるように……え、嘘!? 嫌いなわけない!? むしろ大好き……んんん、バカ!!! 私がえっちな女の子なの晒しただけじゃん、噛みついてやる! がぶがぶ……ぷへっ! もう、この後覚悟しといてよね、私を騙したこと、後悔するくらいぐちゃぐちゃのめろめろに激しく濃厚に……こほん、でも今はこっちに集中。次行くよ!」
「1999年 アドマイヤベガ」
「父サンデーサイレンス 母ベガ……お母さんはベガはベガでもホクトベガの時のベガの方だね……ちょっとややこしいね。取りあえず良血の馬だよ。双子だけど、大成しないという理由で一人は胎内で潰される……ちょっと悲しい出来事だよね」
「皐月賞を体調不良で6着。日本ダービーでは皐月賞馬テイエムオペラオーは抑えるも、ナリタトップロードの2番人気。レースでは鞍上の冷静な判断で上がり34秒4の末脚で外から両馬を差しきる……3強の様相を呈し、その通りになったレースだったけど、和田竜二騎手、渡辺薫彦騎手、武豊騎手の中で一番ダービーというレースを知っていた武豊騎手の経験と冷静な判断での120点の完璧な騎乗が光ったレースだったね」
「……き、君の騎乗は何点か、だって? なに、その質問さっきから下ネタばっかり、それにさっき嫌いって……も、もう答えるよ! ……き、君の騎乗は毎回100点だよ、120点だよ。毎回完璧だよ……で、でも初めての時だけはちょっとへたくそだったかも……な、何の話、これ! も、もう次行くよ、次!」
★★★
半分悪ふざけです、この年代はちょっと詳しくないので大目に見てください……こえけんってこんな感じでいいんですかね?
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あなたのお耳にダービー馬!~女の子が耳元でダービー馬を囁いてくれるだけの話~ 爛々 @akibasuzune624
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