第651話 メイドのご奉仕

 〈アコ〉を洗っていると、湯浴み着にスリットが入っていることが分かった。

 スリットに手を入れると、おっぱいやお尻などが洗えるんだよ。


 「〈アコ〉、この服は隙間(すきま)が空いているんだな」


 「はぁぁ、それは、お湯を逃がすためのものですわ。〈あなた〉みたいに、いやらしいことをするものじゃないのですよ」


 えぇー、嘘だろう。

 どう考えても違うと思うな。

 だって、すごく触りやすいぞ。

 でも〈アコ〉の言うことも、分からなくはない。

 いやらしいことをするのなら、全裸になった方が早いからな。


 だけど〈アコ〉は唇を舌で湿らせ、もっといやらしいことを僕にしてくるんだ。

 僕を立たせて、始めチロチロして中でパッパッだ。


 ご飯を炊いたのではなく、僕をたきつけたんだ。

 おまけに僕が、〈アコ〉の頭を抱こうとしたら、止めてしまいやがんの。

 生だきじゃなくて、生殺しだよ。


 「あっ、まだなんだ」


「ふふ、メイドのご奉仕は、まだ終わってはいないのですわ」


 我慢させることが、ご奉仕じゃないと思うんだけどな。

 お風呂から出て〈アコ〉にタオルで拭いて貰い、ソファーで寛(くつろ)いでいると、メイドの〈アコ〉が恥ずかしそうに再登場してきた。


 今度のメイドは、ワンピースを着ていないメイドだ。

 簡単に言うと、下半身に白いエプロンだけつけているんだ。

 だけど頭には、小さめのヘッドドレスを乗せているので、メイドさんに間違いない。

 巷(ちまた)で騒(さわ)がれている、裸エプロンと呼ばれているファッションスタイルである。


 「ほへぇ、〈アコ〉、大胆だな」


 「ふぅん、そんなこと言わないでください。耳掃除をしてあげますから、私の方を見てはダメなのですよ」


 〈アコ〉はまた頬をポッと染めて、膝枕をしてくれた。


 さすがは妻だと思う。

 こんな格好をしても、真っ赤にならずにポッと染めるだけなんだ。

 絆(きずな)がより深化したと思うけど、同時に一抹(いちまつ)の寂しさを覚えてしまうな。


 官能性と純真性を両立するのは、とても困難な命題であり、数多(あまた)の人類が追い求めているけど未(いま)だ解明されていない。


 僕は裸エプロン姿の〈アコ〉を、フラフラと追い求めて、ブチュっとキスをかました。

 おっぱいとお尻を、揉むのも忘れてはいないぞ。

 既にモロ出しだもん。


 「うぐっ、〈あなた〉、もう少し待ちなさい。耳掃除だと言っているでしょう」


 「はい。分かりました」


 さっき一回出しているので、僕は〈アコ〉の言うことが聞けたようだ。

 〈聞けた〉って、自分で言ってどうしたことだろう。

 もう、〈アコ〉の大きなお尻に敷かれて、僕は操縦(そうじゅう)されてしまっているのか。


 ただ、耳掃除は殆ど出来なかった。

 僕がぶら下がっているおっぱいを触ってしまうから、〈アコ〉が掃除に集中出来ないんだ。


 「あぁ、耳掃除をしている間くらい、大人しく出来ないのですか。そんなに私の胸を、〈あなた〉はお好きなのですか」


 良く言うよ。

 耳掃除が真の目的なら、裸エプロンなんてしないだろう。


 「そうだよ。僕は〈アコ〉と〈アコ〉のおっぱいが大好きなんだよ」


 「ふふふ、私も〈あなた〉が大好きなのですわ。私を寝室へ運んでくださいな」


 僕は素直に、〈アコ〉をお姫様抱っこに抱え寝室へ行き、エプロンをめくらないバージョンとめくるバージョンを行った。

 〈アコ〉姿勢が変化したってことだよ。


 「〈アコ〉のご奉仕にとても満足したよ」


 「ふふふ、私も満足しましたわ。でも、エプロンをつけたままなんて、〈あなた〉はすごくいやらしいです」


 そう言って〈アコ〉は、エプロンを外して僕に抱き着いたまま眠ったようだ。

 僕は「〈アコ〉もかなり、いやらしいぞ」と寝顔へ呟(つぶや)いたら、〈アコ〉の額(ひたい)に皺(しわ)が寄った気がしたよ。


 翌日からはもうメイド姿ではなくなって、夜しかおっぱいを揉ませて貰えなくなった。

 「怒っているのではなく、夜だけで満足しているのですわ」と言われてしまったよ。

 かなり寂しいな。

 かなりいやらしい〈アコ〉は、もう見ることは出来ないのだろうか。



 学校の建設現場に〈クルス〉と様子を見に行くと、隣の修道院の建設現場はとても賑(にぎ)やかだった。

 建設業者の親方と院長が、大きな声でお話をしているんだ。

 建設作業員と修道女達も、耳が痛くなるほどのコミュニケーションをとっているぞ。

 僕は施主(せしゅ)だけど、部外者だと思うので、見なかったことにしよう。


 「うふふ、旦那様、学校の建物の大枠(おおわく)が出来ましたね。教育の中身の大枠も、完成間近なのですよ」


 〈クルス〉も修道院のことは、気にもしていないようだ。

 それより、学校の方が気になるのは当然のことだろう。


 「おぉ、そうか。〈クルス〉には大変なことを押し付けて、ゴメンよ」


 「うふふ、構いませんよ。妻の役割だけでしたら、暇を持て余していたと思いますし、《ラング領》の発展に寄与出来るのは、とても遣(や)り甲斐があります」


 機嫌が良いのは有難いが、相変わらずの真面目さだな。


 「内装が出来れば、直ぐにでも開校するんだろう」


 「えぇ、〈サトミ〉ちゃんが《ラング》へ帰ってきたら、直ぐに開校する予定です」


 「へぇ、〈サトミ〉を待つのはなぜなんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る