3-14 四龍さんのガールズトーク
「シメさん、という事で、皆あなたの妻となりましたので、ご飯作ってくださいね。」
なんだか騙されている感が無いとは言えないが、四龍さんが笑顔でワイワイしているから、もういいやなんて思ってしまった。
だって、顔もスタイルもドストライクな訳で…。
皆の姿を見ていると、後ろからレインさんがつねって来る。
「4人の妻を娶られたことは理解しますが、目つきがエッチいです!」
「あ、ごめん。
でも、レインが第5夫人でしょ。彼女たちは第6から9になるから、レインの方が上になるんじゃないか?」
「いいえ。魔王様が正妻は変わりないですが、第2夫人からの序列が変わりますよ。
精霊族よりも龍族の方が種族としては上ですから、四龍の皆さんが第2から第5夫人となると思います。」
「え?それじゃダメだよ。
ちゃんと妻となった順番で呼ばないと。
まぁ、まどかさんにも相談するけど、序列なんて関係ないから。レインは俺の妻、それだけで良いと思うけどね。」
「カズ様…。なんて甘美なお言葉を…。」
あかん…、どこに地雷があったかは分からないが、レインさんがクネクネし始めた。
こうなったら、俺しか料理作るヒト居なくなるじゃんか…。
夕食は和洋折衷…。
メインはピッツァにお好み焼きに火鍋、スープはみそ汁。
あとは米。老子様改めナタリーさんの台所にあった米櫃から米を炊き、白いご飯も出す。
どうだ!この炭水化物攻撃!
それに火鍋は唐辛子があったから、汁を真っ赤にしてやったけど、食べれるのかね?
「カズしゃま、これは辛くて美味い!身体の芯からポカポカしてくるぞ!」
「カズしゃん、このピッツァの具はいろいろと変えることもできるんですね。」
「シメしゃま、お好み焼きにご飯が合いますね。」
お好み焼きをおかずに白ご飯だと!
ニーナさんには日本人の血が流れているのか?
たしか、オタ〇クソースが全国的にアンケートした事があるって聞いたことがあるが…。
半数以上が“粉モノ”をおかずにご飯を食べている結果だったと記憶している。
であれば、ピッツァにご飯は合うのだろうか?
結論から言う…。
四龍さんには不評だった。
パンをおかずにご飯を食べることができるか、という事になるのだろうか?
しかし、パンに焼きそばを入れたり、コロッケを入れたパンもあるが、パンにご飯を入れたモノはなかったなぁ…。
は!
いかん、真剣に考えてしまい、パンと米問題にトリップしてしまった。
四龍さん、ほんといっぱい食べるね。
あんな小さなドストライクな身体のどこに入って行くんだろう?
そんな事を思っていると、ニーナさんから、
「女性にそんな事を聞くのは野暮ですよ。」
とたしなめられてしまった。
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食後のコーヒーを飲みながら、皆と歓談する。
ブレイクさん(赤龍)は、暖かい地方に住んでおり、大豆や米、コーヒーなど、農産物が盛んな大陸。
マデリーンさん(青龍)は海の中。したがって海産物。
ニーナさん(黄龍)は高山地帯。
普段は龍の姿で生活していることはなく、竜人族と同じ姿で生活している。
何で?って聞くと、龍の姿だとお腹が一杯にならない事と、食べる量が半端ないくらいだそうで、結果小さな姿で暮らしている方が効率的なようだ。
であれば龍さんって、どんな存在なんだろう…と聞くと、別に竜人族と変わらない。長生きしているだけって事。
なんだかがっかりしていると、エルフにも長老が居るし、ドワーフにも長老が居る。
そのヒト達は、ハイ・エルフとかエルダー・ドワーフと呼ばれたりしているから、四龍さんと何ら変わりがない、ってケラケラ笑いながら話してくれた。
勇者が来て龍退治をするとかあるのか、って聞けば、そんな弱っちい人族の中でスキル持ちであったとしても、龍を倒すことができないんだと…。
それじゃ、この世界の王者じゃないかって聞けば、そんな比較なんて意味がなく、単にヒトが優劣付けたいだけの話のようで、ファンタジー世界の龍さんとは全然違っていた。
あ、それと、住んでいる所には金銀財宝なんて無いようです。
「だんだん頭が痛くなってきたんですが、勇者が何で皆さんに味噌とか大豆とかを教えたんですかね?」
「あぁ、あのおバカな勇者の事ね。
あれは800年くらい前でしょうか。
いきなり仲間4人と『俺は勇者パーティーだ!龍討伐に来た!』とか言って、けちょんけちょんにしてやった勇者が居てね…。」
「ちょと、そんな厨二病のような勇者がいたんですか?」
「居ましたね。無謀というか、愚か者というか…。」
愚者は俺ですが…ナニカ?
「それで、フルボッコにされた勇者たちがね、命を助けてくれる代わりに勇者が持っている知識をくれることになったんですよね。」
「て、もしかして皆さんのところに同じ勇者がやって来たんですか?」
「多分一緒だと思いますよ。
だって、『火龍は俺達のレベルには早すぎるから、水龍だ!』とか言ってましたからね。」
マデリーンさんがケラケラと笑っている。
「ホント、弱っちかったんですよ。
えっと、何でしたっけ?勇者の必殺技って。」
「何とかスコープキャノンとか言ってたような…。」
「思い出したぁ~!『カレイドスコープ・キャノン』だ!」
「そうそう、それそれ!」
なんだ、そのネーミングセンス…。
何で万華鏡大砲なんだ?
キラキラしたものが一杯出たんだろうか?
「紙吹雪みたいなものが一杯出てたねぇ~。」
「そうそう、それで撃った後、『どうだ!凄いだろ!』って、どんな勇者なんだよ~って思ったよね~。」
「で、何やってんの?って顔したら逆切れしてね。
なんかジタバタして魔法とかたくさん撃ってきたから、左手でペチンとしたら、大人しくなったんだよね~。」
「うんうん。
その後、全員で土下座して『さーせんでしたぁ!』って。あはは!」
ここにその勇者が居たら、恥ずかしさで顔面から血を流していただろうな…。
しかし、そんな無謀な奴、否、勇者が居たとは…。
「で、皆さんはその勇者の知識を貰って生きていると…。」
「そうなんだけど、やっぱり私たちって、畏敬の念を持って対応される訳なんですよ。
そうすると、お供え物とかくれる訳で…。」
「で、そのお供え物を勇者の知識でいろいろと改良していった、と。」
「うん。そんな感じ。
それで、知識を教えてあげるとね、みんな感謝するんだよね。」
そりゃ、そうでしょ。
下着もないって言うか、あるけどなんじゃこりゃパンツです。
そんな世界だけど、ヒト以外の種族間の紛争とかはないので、こちらの方が上だよな。
「みなさん、いろいろと苦労されているんですね。」
「そうなんですよ。
それに、私たち全員女性なんですよね…。そして、そろそろ繁殖期を迎える訳なんですよね…。」
四龍さんの目つきが一瞬ケモノに変わるのを見逃さなかった…。
「え?俺、食われるんですか?」
「カズしゃま、何言ってるんですか!繁殖期って事は子供を産むって事ですよ。」
「えと…、龍さんは卵ではないでしょうか?」
「だからぁ~、カズしゃん、有精卵が欲しいのよ。」
「へ?それ、俺でいいんですか?」
「シメさん…、何のために私たちの夫となったんですか?
私たちは、シメさんの子供を産みたいんですよ。」
おぅふ!なんかとんでもない事態になっていると思うんだが、それで良いのかね?
俺は前の世界でも孤独だったし、子どもはたくさん欲しいから良いんだけど…。
「うん、良いよ。
俺も子供好きだからね。
でも、行為の後、食べないでね。」
カマキリとかクモを思い出しながらお願いした。
「シメしゃま、当たり前ですよ。
レインとの逢瀬を聞かせていただくと、それはそれは甘美なものだと聞いておりますので。」
へ?レインさん、話しちゃったの?
レインさんの顔を見ると、
「すみません…。カズ様の愛し合う方法について聞かれたもので…。」
顔から赤いものがブワッと出てきた…。
穴があったら入りたいよ…。
「で、4人と逢瀬を共にしてもらうために、4日はこちらに滞在してもらうというのが理由なんですよ。」
ナタリーさんが、ニコニコと笑っている。が、瞳の奥にメラメラと燃える炎が見える…。
「で、今日は私、明日がハバさん、明後日がリヴァイさん、最後がフレイスさんという順で。」
「あ、ズルい!公平にじゃんけんで決めないと!」
じゃんけん…、どうせアホな勇者が教えたんだろうな…。
「あの…、すみません。私も居ますので、最低5日はここに滞在してもらわないといけません。」
おい!レインさん、この期に及んで、何を言ってるんだ!
って、なんで皆で頷くんだ!
おかしいだろ!
でも、ドストライクな女性たちだから。
その…。なんだ…。うん…。
寧ろウェルカムだよ…。 ゲフンゲフン…。
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