第9話同僚と歩いている所を

翌日

会社で、何時もの様に働く未来。

同僚の近藤和樹が未来の所に

やって来た。


「おい、上谷悪いけど、この領収書

会計に持って行って経費で通して

くれよ!」


「どうして私が?悪いと思うなら

自分で行きなさいよ!」


「上谷が言うと通るけど、俺が

言っても、通らないんだよ!」


「近藤?ひょっとして関係無いのも

出してる?」


「そんな事してないよ!今、経費が

厳しいから会計も厳しいんだよ!」


「じゃあ、どうして私なら、通るの?」


「それは、その~上谷節と言うか

何と言うか、なんせ上谷が言ったら

通るんだよ!何でも、おごるから

お願いします!上谷様!」


「じゃあ、プリンね!」


と言って未来は会計の所に行った。


「すみません、これ領収書を持って

来たんですけど、経費で処理を

お願いします」


「上谷さんの?珍しいわね」


「いえ、私のじゃ無くて、営業の

近藤君の領収書です」


「どうして、上谷さんが?」


「あ~何か、忙しいらしくて頼まれ

ました」


「ちょっと待って、見るから」


と言って領収書を見る会計の係の

人。


「上谷さん、これは経費では無理

でしょう?」


「どれですか?」


タクシーの領収書が沢山有った。


「移動は基本、電車で行って

もらわないと」


「でも先方との待ち合わせ時間が

有ったりすると時間的に無理な時は

タクシー使いますよ!」


「でもね~」


「でもね~って、じゃあ先方を

待たせるんですか?仕事に影響

しますよ!それでも良いんですね!」


「上谷さん~困らせないでよ~」


「困ってるのは、こっちです!

経費で落として下さいね!」


「わかりましたよ」


しぶしぶ了承する会計担当者。

未来は近藤に


「通ったよ!」

と報告した。


「マジで~さすがだな上谷、やっぱり

上谷節だな~」


「何よ!それ!人を民謡歌手みたいに!」


「ごめん、ごめん、約束のプリン

おごるからな!」


「うん、沢山ね!」


「O.K.!」


未来は本当に、物怖じしない。

大好きな信長様の生き様を真似

しているのだ。

毎週、ドラマの日は恭介がやって

来る。

2人で見ては盛り上がる。


「来週、最終回だね、どうなるの?」


「それは未来ちゃんでも、教えれないよ!

楽しみに、しとくんだな!」


と言って帰って行った。

そんなある日

近藤が約束のプリンを買ってくれるので

五月達とランチの後、別れ近くの

ケーキ屋に行った。

peaceの差し入れを買った店だ。


「上谷どれにする?」


「プリン全種類!」


即答だった。


「お前、マジで?」


「マジだよ!」


「はいよ!」


と 渡す近藤。


「ありがとう」


「こちらこそ、ありがとうな!」


2人で会社に戻る。

その姿を移動車の中からpeaceの

メンバーが見ていた。


「恭介、OL男と歩いてるぞ!」


慌てて外を見る恭介。


(未来、何を楽しそうに男と

歩いてるの?誰?そいつ!)


「恭介、頑張らないとOL取られ

ちゃうぞ!」


「恭介、もう告白したの?」


「いや、まだ何も、ドラマ見るだけの

仲だから......」


「何だ?それ?」


そしてドラマ最終回の日


「わっ!本能寺の変だ!」


「そうだよ」


「終わり方がミステリアスだね!」


「だろう?」


「ひょっとして信長様まだ生きて

るんじゃ!」


「生きてたら、何歳になるんだよ!」


「そっか~でも私の楽しみが1つ

減ったな~」


「でも未来ちゃん、手話習いに行って

るんだろう?」


「うん、少しは出来る様になったよ!」


「手話習って、どうするの?」


「会社が休みの時に、ボランティアで

本の読み聞かせの時に手話が出来たら

いいなって思って」


「未来ちゃん、偉いね!」


「peaceの、みんなには全然勝て

ないよ!」


(こうして話してると普通なのに

何処かでスイッチが入るんだよな?)


「じゃあ帰るわ、又今度、ご飯

でも行こう!」


「どうして?」


「いや、未来ちゃんに、ご馳走したいから!」


(ほら、入った、スイッチ!)


「プリンも付けるよ!」


「うん、わかった!」


(プリンか~プリンが付くと未来

弱いな~)


そして2人は前に行ったレストランへ

向かった。

レストランに着いて車を降りようと

すると、遠くからレンズ越しに

覗いてる人物がいた。

そして、ツーショット写真を撮った。

何も知らない2人は食事を楽しんで

未来は大好きなプリンに大喜び

していた。

翌日、週刊誌1面に桜庭恭介

熱愛!と写真付きで出てしまった。

幸い未来は、一般人なので顔は

隠されていた。

恭介はマスコミが押し寄せる中

テレビ局に入った。


(未来の事だからテレビや週刊誌は

見ないけどマスコミが行ってるよな

ラインで知らせて、おこう)


《未来、昨日レストランに入る

所を写真に撮られて週刊誌に

載ってる!熱愛報道として未来の所に

マスコミが行くと思うから気を付けて

ごめんね》


それを見た未来は髪を束ねて帽子

マスクで顔を隠して、何とか出社

した。

すると五月達が


「未来、これ未来だよね?大変

だよね!」


「マスコミとかに追いかけられるよ!」


「未来、いっそのこと恭介さんと

付き合えば?」


「私が桜庭さんと?」


「うん、不思議ちゃんの未来を

受け入れて、くれるのは恭介さん

位だよ!」


「でも桜庭さんは何も、そんな事

言わないよ!」


「そりゃ~

普段の未来を見て

告白する勇気のある男は居ないよ!」


「何?それ!」


「ハハハハ」


笑う4人。

マスコミから逃げる様な生活をする2人。

メンバー達も


「恭介、もうこの際だからOLと

付き合えば?」


「マスコミにもばれてるんだから

もう、いいじゃん!」


「みんな、相手は未来だぞ!俺が

付き合ってって言うと、どうして私

ですか?って言うに決まってる

だろう?」


「それも、そうだな!でも、ここは

押すしか無いぜ!恭介はOLの事

好きなんだろう?」


「うん!」


「じゃあ押して、押して押しまくれ

行け!恭介、いや、今行ったら

マスコミの餌食だな~ラインだライン

ラインしろ!」


「分かったよ!やってみるよ!」


と恭介は未来にラインを送った。


《未来、マスコミで迷惑掛けて

ごめんな!》


《桜庭さんが謝る事では無い

でしょう?追いかけ回してるのは

マスコミなんだから!》


(ほら、やっぱり~もう、やけくそだ!)


《未来、ラインで悪いんだけど

ちゃんと俺と付き合って下さい》


《どうして、私が?》


(来たよ~)


《未来が信長様を好きな様に

俺も未来が好きなんだ!》


しばらく時間が過ぎる。

ラインの返信が来た。


《信長様の次で良かったら、

付き合っても良いですよ!》


《本当に?》


《はい!》


(やった~やっと未来と付き合える!

マスコミにも彼女って言えるぜ~!)


恭介はメンバーに報告した。

未来も五月達に報告した。

当人達以外は違う意味でのBIGカップル

の誕生と思っていた。


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