第2話 これってミステリーじゃない
「実際にあったお話で『コティングリーの妖精事件』って知ってる…?」
「知らない…、何それ…」
「イギリスのコティングリーという田舎でね、二人姉妹の少女が妖精の写真を撮ったんだ」
「妖精…?」
「実際にその写真ってあるんだよ…」
「本当なの…?」
「写真はあるんだ、ほらね…」
スマホの画面を見せてあげる僕。
「でもなんか嘘っぽいね、それに最後の写真だけよくわからない…」
「後になってこの二人の姉妹は妖精が書かれている絵本を切り抜いて写真を撮ったと告白したんだけど、最後のこの写真だけは本当に妖精を撮ったって言っているんだ…」
「ふ~ん、そうなの…」
「この最後の1枚だけ姉妹が写ってないんだよね。他の写真は姉妹のどちらかが写っているのに、これだけ自分達を入れないなんてさ…」
「確かにそうね。あと撮りたいものを真ん中にするのに、最後の写真だけ変な繭っぽいものを真ん中にして撮ってる」
「不思議じゃない…? ミステリーって謎って面白いよね」
「まあ…」
*
いよいよだ…
「最近さ…これってミステリーだな…と思うことがあってね」
「なんかあった…?」
「どうしてさ…男の子って女の子好きになるんだろう…って思うんだよね」
「ベタだね…」
「うん…」
「逆もあるからね…、私たち女子が男の子を好きにもなる…」
理沙は彼女の足をぶらぶらさせ、その先の革靴を見ながらそう言った。
「簡単に言うとさ、本能なんだろうけれど、子孫を残すための」
簡単に言うとね…。
「そうね…、でも本能っていうと終わっちゃうね…」
理沙の靴は女の子らしくちゃんと磨かれている。僕のくしゃくしゃの靴とは大違いだ。
「だけどわからないんだ…」
「なにが…」
「みんながみんな同じ女の子を好きになるわけじゃないんだよね…」
「……」
僕を少しだけみる理沙。
「不思議じゃない…? これってミステリーじゃない…」
「考えたことないけれど…」
「タイプがあるんだ…、女子なら“誰でもいい”んじゃなくてさ…と言っても男子みんなが“同じ女の子”を好きになるわけでもない…」
「うん…」
理沙の横顔、僕はかわいいと思うのだけれど、テニス部の村田里虹(これでりこと読ませる)のほうが男子には人気がある。
「顔とかスタイルとか性格とかね…、タイプがあるんだ、好きなタイプがね…」
「そうだね…」
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