離婚
私は長女だ。
父と母にとって初めての子供だった。知り合ってすぐに妊娠、結婚した父と母が長続きしないのは誰から見ても明らかだっただろう。それでも、私の幼い頃の写真には、いろいろな所に遊びに行った記録が残っている。父に抱かれる私は本当に楽しそうに見える。私は父が大好きだった。
父は長距離トラックの運転手だったため、あまり家にいなかった。一週間に一度帰ってくるような生活だった。正直、父と家で過ごした記憶はあまりない。二つ下に妹が生まれたが、生活は変わらなかった。
それでも私の記憶の中で父のことが大好きだということは変わらずにある。
私が4歳になる頃だったと思う。
今でも鮮明に覚えている記憶がある。
父の乗っていたハイエースの前で、妹を抱く母に尋ねられた。
『ママとパパとどっちがいい?』
私はパパと答えた。
その後、父のハイエースに乗せられ、父から
『ママとはもう会えない』
と言われた。
私は拗ねて父の車のダッシュボードを蹴った。
父にすごく怒られた。それでも蹴り続け、父の実家に着くまで怒られ続けた。
今思えば、あれが離婚したときだったのだろう。
幼い私にはまだわからなかった。あの時の自分の選択が正しいかどうかもわからなかった。わかるはずがないのだ。4歳の子供にその選択を迫る親がどうかしている。
これから母に会えないだとか、どちらが好きかとか、なんでそんな酷なことを子供に言えるのか。結局私の親は二人ともまともではないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます