第56話 火事と逃亡(改)
お待たせしてしまいすみません
m(_ _)m
以前と被っている所もありますが、読んで頂けると嬉しいです。
*.(๓´͈ ˘ `͈๓).*
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
リッツヘルムと部屋の外に出ると、先生も帯剣して駆けつけてくれた。
途中でアヤナ家族とも合流して外にでる。
火事がおきているのは北塔で、そこにはピンクやその関係者が収容されている囚人塔だ。
「急いで大聖堂に行くぞ!
何があっても絶対に止まるな!!」
先生がそう叫んで私の手を引いて走り出した。
前をリッツヘルムが抜剣して先導し、後ろをアヤナ家族に守られて大聖堂に向かった。
大聖堂の周りは教会騎士で固められ、私達に気付くと中に入れてくれた。
大聖堂の中には2人の枢機卿、巫女と司祭、助祭、教会騎士が首座主教様を守るようにして集まっていた。
アルマエル様が警戒しながら近づいて来る。
「東塔に異変は?」
「特にはありませんでした。
避難を優先したので、全ての部屋の確認はしておりません。」
リッツヘルムが答え、先生も厳しい顔で頷く。
「南塔も今の所異常はないようです。皇后達は騎士に見張らせています。
火事がおきてすぐ北塔へ行ったら誰もいませんでした。
北塔で見張っていた騎士は皆殺されていました。
火事の後に逃げたのではなく、逃げる為の目眩しとして火事を起こしたのではないかと考えています。」
北塔は教会騎士が厳重に見張っていた。
教会総本部からも騎士と司祭の増援が来ていたから、死角はなかったはずだ。
それなのに見張りは全員殺され逃げ出した。
逃げたって逃げ切れるものでは無い。
大陸中にピンク達の事は知れ渡っている。
どこにも逃げ場所なんてないのに。
「今誰が手引きしたか捜査中です。
貴方がたもこちらへ。」
聖壇の上に置かれた聖玉に両手を置き質問に答える。
「北塔の火事に心当たりは?」
「私は関わっていません。」
「誰かから北塔の囚人を逃がす又は助けるなどの話を聞いたりしましたか?」
「いいえ」
「火事又は逃亡の話を聞いてどう思いました?」
「逃げ場所も逃げ切れもしないのに何を考えているのかと。」
「もうよろしい。」
他も同じような質問をされていた。そして皆同じ答えだ。
ただナール君だけが違った。
「北塔って火がついてる場所でしょ。
この前隠れんぼしてた時にあの近くで騎士の人とあの服着た人がフード被った人と隠れてお話してたよ。」
「それを誰かに言いましたか?」
「うん。近くにいた女の人に言ったら大事なお仕事のお話してるから黙ってようねって。
僕喋ったけど大丈夫?」
最後の言葉はアヤナに向けていた。エジエル様の気配が険しくなって母親に助けを求めたのだ。
子供にあれはキツい。
「もちろん大丈夫よ。神の前では聞かれたことには正直に答えないといけないからね。」
「何時のことか覚えていますか?」
「んーと、レジュのパイが夕飯に出てきた時!」
レジュは豚のような肉の臓物を使ったパイでナール君の大好物だった。
だから覚えていたんだね、偉いよ!
「何時ですか?」
エジエル様がアヤナに聞くと少し考えてから
「20日前です。ちょうど食材が届いて新鮮な臓物があったからパイにしたんです!」
わかりやすくて良かった。レジュのパイじゃなかったらあやふやになりそうだった。
ん?食材が届いた?
じゃあ業者が来たの?
「おそらく食材と一緒に余計な者まで届いたんだろう。」
先生、こんな時まで皮肉るのは忘れないのね。
皆同じ考えだろうけど。
エジエル様は南極ブリザードを吹かせてお礼を言った。
「ナール、これで終了です。手を離していいですよ。」
ナール君は手を離し泣きながらアヤナに駆け寄った。
「ママー、怖かったよー!
あのオジサンの顔、本の中の魔王みたいだったー!!」
ぎゃーーー!
エジエル様になんて暴言を!!
アヤナ夫妻も真っ青になり謝ろうとしたが、エジエル様が手で制した。
「謝罪は結構です。怯えさせた私に非があります。
それよりも彼の怯えを和らげてあげてください。」
·····心無しかエジエル様が傷ついてます。
アヤナ達はエジエル様から離れて号泣するナール君を慰めている。
5才なのに頑張ったもんね。泣くのも最後まで我慢したしね。
とにかく犯人は絞り込めた。
助祭服、あの時刻に北塔近くにいた騎士。
程なくして見つかった。
だけど死体で。
教会騎士と司祭服を着た助祭は北塔で殺されていた。
女性はまだわからない。
今日の北塔の食事当番の司祭は自室で死んでいた。
助祭の部屋の机に手紙が置いてあり、内容は家族が人質に取られて協力しないと殺すと脅された。
見張りの騎士の飲み物に毒を入れて殺し北塔の囚人を逃がす計画で、毒入りの飲み物は同じ見張りの教会騎士が渡す手筈になっている。
教会騎士は昔キリカの家の近くに住んでいて北塔で再会し、キリカに惑わされ信仰を捨てたと書いてあった。
大聖堂でエジエル様がこの手紙を読み上げた時、私は怒りと恐怖に包まれた。
ピンクにとって人の命などその辺にある石ころと変わらない。
邪魔だから取り除き、必要ならその石を投げて自分の歩く先を作る。
その程度にしか感じられなかった。
これから何をするつもりだろう。
私の不安が更に大きくなったのは1人の騎士が大聖堂に入って首座主教様に直接耳打ちした時。
普通なら枢機卿に先に耳に入れ、枢機卿から首座主教様に伝える。
それを飛ばしたのは緊急事態だからだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございますm(*_ _)m
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