預言で王子と没落令嬢との学園恋愛物語があるって教えられて留学したけれど·····

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プロローグ

第1話 お別れです。

「お別れです。」


ふわふわの薄紫の髪を一つに纏めペリドットの瞳で婚約者を見る。


「嫌だ!離れたら死んでしまう!!」


琥珀色の髪を揺らしながらルビーの瞳を潤ませ叫んだ。


「お約束してくださったでしょ。どうか行かせて下さい。」


少女は困った顔をしながら青年を宥める。


「ジュノー。お願いだ!どうか行かないで!!」


そう言って少女ージュノーを抱きしめ口付ける。


「んうっ!あ、ユピテル様·····」


ジュノーは甘い口付けにユピテルの背中に手をまわす。


だがーーー


ジュノーの甘い気分はユピテルの両手がお尻を撫で回す迄だった。




「お止めくださいませーーーー!!」


ジュノーの膝がユピテルの腹部に見事にきまる。


「グッ!」


ずるずると崩れ落ちても、お尻を撫で回す手だけは離れなかった。








✿* : ✿* : ✿* : ✿* : ✿*:


魔法帝国アバドンに預言者が皇帝一家に拝謁したのは一年前。


小国の王女である私はこの三年前にアバドンの皇太子ユピテル様と正式・・に婚約し王妃教育で、月の半分··········八割は帝国にいて、この日も一緒に預言者に会い、何でも聞いていいと言われたので、それぞれ(自分の未来は教えられないと言われた)気になる事を聞いていた。


皇帝陛下は帝国に災いがないか、皇后陛下は家族に不幸がないか、ユピテル様は近隣国の情勢に変化はないか、弟皇子皇女は自分の気になっている事柄を聞いていた。


私も自国と帝国の関係を聞いた後、預言者は近々、隣国ルフガル王国に聖属性の少女が現れると言った。


その言葉に全員が驚いた。だって100年近く聖属性が誕生したと聞いてないからだ。


「ルフガル王国の立ち位置が変わるかもしれん。」


皇帝陛下は難しいお顔で仰った。ユピテル様も何か考えておられるよう。


「聖属性の少女は没落しかけた子爵家の次女でルフガルの第一王子と恋に落ち、婚約を結ぼうとされます。」


私と皇女ミナーヴァ様は預言に胸をときめかせた。

身分差の恋!



あれ、でもルフガルの第一王子って幼い頃から婚約してなかったっけ?


確か·····


「ユピテル様、第一王子って公爵家のイズラール様と婚約してましたよね。」


自信がなくなってユピテル様にこっそり聞いてみる。

ユピテル様は私の髪をひと房掬いキスした。


「さすが僕のジュノー。よく覚えていたね。」


褒められたのと髪にキスされて私は真っ赤になった。

いつもちょっとした事で褒めて色々な所にキスされる。


陛下達も慣れてるから生暖かく見守ってくれている。


私は恥ずかしいけどね!


「だが婚約がなくなればカルティス公爵の派閥が黙っていない筈だが·····」


「そうですね。下手をすれば内乱が起きるかも知れません。」


陛下とユピテル様は二人でルフガルの内情を話し合っていた。


それと言うのもルフガルの王弟殿下とミナーヴァ様が婚約しているからだ。


ミナーヴァ様は内乱と聞いて不安そうな表情になったので、私は彼女の手を取り両手で包む。皇后陛下もミナーヴァ様の肩を抱き安心させるように摩っていた。


そうだ!


「陛下。お話中申し訳御座いません。」


会話中に割って入る無礼を謝る。


「どうした?」


皇帝一家は気さくな方々ばかりで、今も優しく聞いてくれた。


「わたくし、来年一年間だけ周辺国に留学し魔道具を広めるように父母から言われております。ルフガル王国もリストに入ってますから、偵察して参ります!」


「駄目だ!」


ここで待ったをかけたのがユピテル様。


「一年間も留学だなんて聞いてないよ!1日でも離れるのが辛いのに、一年もだなんて!!」


貴方がそう言って反対するのがわかってたから言わなかったんです。


皇帝陛下達も不安そうに私を見る。


「姫が偵察·····。」


待って下さい!その間は何ですか?!

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