花屋
A「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
B「ええ。イチゴの花はありますか?」
A「もちろんございます。失礼ですが、ご結婚のご予定が?」
B「いえいえ。実は友人に子供が生まれたので、その祝いにと思いまして」
A「なるほど。それは良いお考えです。出産祝いでしたらこちらの花もおすすめですよ」
B「ほぉ……美しいですね。なんという花なのですか?」
A「この花はバーベナ。『家族の和合』という花言葉を持つ、出産祝いに最適とされている花です」
B「それは良い。ではその花を貰います」
A「ありがとうございます」
B「他には何かありますか?何と言いましたか……籠のようなものに入れたギフトにしたいのですが……」
A「フラワーバスケットですか……そうですね。お相手の好みの色はありますか?」
B「彼は青が好きでしたね。そういえば奥さんは白が好きだとか」
A「かしこまりました。ではバーベナは紫のものを使用しましょう」
B「お願いします」
A「青はブルースター。白はラナンキュラスを使います」
B「ふふふ」
A「どうかなさいましたか?」
B「ああいえ。すみません。よく考えていただけているのだなと思うと自然と笑みがこぼれてしまって……」
A「お客様も花にはお詳しいようですね」
B「ええ。亡くなった母が好きだったもので、受け売りですが」
A「そうでしたか。では、この花の意味もご存じで?」
B「ブルースターは『幸福な愛』ラナンキュラスは『晴れやかな魅力』ですね」
A「ご明察です。どちらも出産祝い向きな良い花です」
B「古い話ですが、私の父は結婚の日にラナンキュラスを、私が生まれた日にブルースターを母に贈ったそうです」
A「なるほど。お父上も詳しかったのですね」
B「父は母の趣味に付き合う程度だったみたいですけどね」
A「お待たせしました。ご注文のフラワーバスケットになります」
B「どうもありがとう」
A「ありがとうございました。お次はお客様の結婚祝いということで、お安くさせていただきますね」
B「あはは。それじゃあ相手探しから頑張らせてもらいますよ」
A「またのご来店をお待ちしております」
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