第64話 貴族会議―2

 豪華な広間に俺、ルミアーナ、クスノハ、シルフィに交え、アルノルト侯爵、ロックフェラー子爵家元頭首のレオノーラさん、更にはクスノハの実家であるムッソウ家頭首のムッソウ子爵、そして俺とシルフィの父殿であるツンデーレ男爵が席を並べている。


 この豪華な広間は、我が家の敷地内に新たに作った迎賓館である。さすがにこの面々だと我が家のリビングって訳にはいかないからね。


 部屋の長テーブルに座る俺たち。イレーヌさんとミレーヌさんは壁際に控え、何故か自動人形オートマトンのアルファたちと並んで立っている。


 ちなみに義母殿を含めた奥方様たちには、迎賓館の大浴場にエリクサーのお湯を張って、神の湯温泉を堪能して貰っていた。



「え〜、本日はお集まり頂きありがとうございます」



 型取りの挨拶から始めた俺を、父殿がマジマジと俺を見ている。俺とリオンが入れ替わり転移をした話は既にしてある。


 父殿から見たら、かわいい息子がいなくなったのと同じ事だから、複雑な気持ちなのだろう。俺もリオンの記憶はあれど気持ち的に親子の絆は薄らいでいる。


 俺は一つ深呼吸をして、席に座る全員の顔を見渡した。



「皆さんから伝えられた王都内の惨状に対して、我がアマノガワ王国は人道的介入をします。


 現在のアザトーイ王国の王都では、女性蔑視による超過労働問題から始まり、増加する過大な税金、物価上昇にともわない低賃金スタグフレーション化による国民の負担増加。生活困窮者もかなり出ています。


 また、農薬汚染された食料による健康被害により病に倒れる人がいるにも関わらず、それに対応しない行政。一部の教会も拝金主義と化して、法外なお布施を要求しているようですね。


 更には国王崩御における高額な香典を国民に求め、香典を払えない者は奴隷に落とすなど、若造の俺でも国として、国民を守る義務を放棄しているとしか思えない」



 俺がそこまで言い切ったあとに、隣に座るルミアーナが口を開いた。



「現国王のセバスチャンと、それに連なる貴族たちは、酷い惨状にある国民を笑いながら毎夜華やかなパーティーを行っておりますわ。


 更には白金貨一万枚を超える借金をして、黄金城などというふざけた城を建てる愚行。王都市民は暴動すらしかねない一触即発な状況にありますわ」



 俺とルミアーナのげんに、全員が首を縦にふる。


 同意を得られた俺とルミアーナは、貴族の方々に、俺たちの目的、これからやる事、そしてこれから先の事を話した。


 もちろん話せない事もあるが、今は彼らの協力なくして、この作戦は成功しない。


「それでは2日後に作戦を決行します。宜しくお願いします」



―――――――


【作者より】

 今回の話しで、「」の中で空白改行をしています。普通は「」内は一気に書くのがお約束ですが、スマホで読みにくかったので、改行を入れています。


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