「オワッ！」

　リビングでルミアーナとクスノハにお茶を出していた時に、突如シルフィがリビングに現れた。

　そして、少し遅れてミレーヌさんと、見知らぬおじさんも転移してきた。

　ルミアーナは、シルフィがゲート魔法を覚えた後（のち）に、シルフィとミレーヌさんに新たな指示を与えていた。

　そして、シルフィとミレーヌさんが空間転移魔法でアザトーイ王国の王都から、家のリビングに帰ってきたのだった。そしてもう一人、壮年のおじさんは――――。

◆

「ルミアーナ王女殿下、ご健勝でなによりです。何も言われずに王国を去り、行方も分からない。心配しておりましたぞ」

「アルノルト閣下も、お元気そうですわね。わたくしにも色々と思うところが御座いまして。オホホホホホ」

　シルフィがアザトーイ王国から連れてきたのは、アザトーイ王国の名家であるアルノルト侯爵だった。

　ルミアーナが差し出した右手を、両手でしっかりと握るアルノルト侯爵。

　ルミアーナはアルノルト侯爵宛に親書を書きシルフィに渡した。そしてアルノルト侯爵自らが、シルフィと共にこの地に足を運んでくれたのだ。

「しかし驚きましたぞ。消息をたった姫様から急に力を貸して欲しいとの手紙が届いたのですからな」

　そう言ってアルノルト侯爵はルミアーナの右手から両手を離しつつ、話を続けた。

「そして、そちらのツンデーレ男爵令嬢は空間転移魔法の使い手。我が国にその様な大魔法使いはいない」

　見ればシルフィが、えっへん、的に胸を張っている。

「半ば疑っていましたが、本当に見知らぬ部屋に降り立ち、目の前に姫様がいらっしゃる。ここはいったい何処なのですか」

　アルノルト侯爵はアザトーイ王国の貴族の中でも、市民階級に対して良心的な方で、以前はルミアーナの王都内での活動を支持支援していた経緯もあり、人手不足を解消する為に協力を仰いだ。

　街造りは八十％程度は完成はしている。しかし街の運営には人、それも即戦力が必要になってくる。

　行政、立法、司法の三権を始め、街の治安や環境管理、やる事は沢山あると思う。現代では二十歳にもなっていなかった俺だけど、中学、高校で習った事をフル活用したい。

「オホホ。それはまだ言えませんわ」

「アハハ。相変わらずですな姫様は」

「閣下、わたくしは既にアマノガワ王国に身を置く身。もう姫では御座いませんわ」

「ならばお妃様とお呼びになった方が宜しいかな」

「な、な、な、なにを……」

　顔を赤くしたルミアーナを見て「アハハ」と笑うアルノルト侯爵。噂通りに人柄も良さそうなおじさんだ。

「さて、それではルミアーナ様の心を射止めた御仁を紹介して頂けますかな」

「オホホ。ご紹介致しますわ。こちらがアマノガワ王国国王の――――」

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