第55話 遊ぶことをプレイって言うよね

「お兄ちゃん〜、もっとせなか〜、おして〜」


 温泉から先に出てきたノーラ皇女を遊ばせる為に、錬聖を使って公園を作った。


 公園は定番のブランコ、すべり台、シーソー、砂場の四点セットだ。


 ノーラ皇女は公園で遊ぶのは初めてみたいで、大はしゃぎで遊んでいる。皇女様とはいえ、まだ四、五歳の女の子だ。公園が楽しくないはずがない。


 日が傾くまでには時間はまだ有るが、皇帝陛下が暗くなっての帰宅では、皇宮が混乱しかねない。


「なかなか出て来ないな」


 ミザリア皇女とノーラ皇女がお風呂から出てだいぶ立つ。ミザリア皇女はノーラ皇女を俺に預けて、クスノハ様たちとチャンバラをしている。


「お兄ちゃん、すべりだいであそぶ〜」


 ブランコを止めて、ノーラ皇女と手を繋いですべり台に向かう。陛下と一緒にきた親衛騎士のお姉さんが一人、護衛で付いてきたのだが、先ほどからソワソワとしている。


「如何しましたか?」


 親衛騎士のお姉さんに声をかけた。


「そ、その〜、陛下の入られたお風呂なのですが……」


 お姉さんはどうやらお風呂に入りたいらしい。


「お時間が無ければ、次の機会にでも入って下さい」

「次はありますか〜」


 涙を流しながら、俺に訴えるような目で見ている。


「ノーラ様は、また遊びにきたいですか?」

「うん、またお兄ちゃんと遊ぶ〜」


「だ、そうです。また来れますよ」

「ノーラ様! ぜひ護衛はシュミルを指名ください!」


「うん。シュミルとまた来る〜」

「姫様ぁぁぁぁぁ」


 シュミルさんが、膝を付いてノーラ様の両手をガシりと握り懇願し、ノーラ様がウンウンと頷いている。


 美しい主従愛が深まっているなか、ルミアーナ様に声をかけられた。ルミアーナ様の後ろには皇帝陛下もおり、長かったお風呂タイムは、どうやら終わったようだ。



「オカエリナサイませ、ご主人様」


 いや、さっきも一度帰ってきたろ、と自動人形アルファに言ってもしかたないことか。


 シルフィとエレオノーラ様たちの姿は家の中にもなく、どうやら土壁の外に行っているみたいだ。


「この娘も自動人形オートマトンなのか?」


「はい、陛下。このは――」

「ご主人様、ゴハン二シマすか、オフロニシマすか、ソレトモワ・タ・し?」


 な、何を言っているんだ、アルファ! てか、以前に仕込んだセリフをここで言うかぁ!?


「トーマ様? アルファに何をさせるおつもりだったのですか?」


 氷の様に冷たい声のルミアーナ様。


「ルミアーナ、若い男子にはそういう時も必要なのだ。分かってあげろ」


 陛下? 何か勘違いされてませんか?


「ご主人様、ホンジツはドノようなプレイをゴショモうでごザイマしょうか」


 オイ、アルファ! そのプレイは遊びのplayだ! やめれ、勘違いされるだろうが!


「「…………」」


 …………時すでに遅いみたいでしたね。


「いや、違うんだよ! アルファと遊んだ時の言語記憶が――――」


「「変態……」」


 ガハッ!!


 ルミアーナ様と皇帝陛下の氷のナイフが、俺の心臓に刺さるのだった……。



―――― 

【豆知識】

遊ぶ 

 Playlは小学生ぐらいの遊び

 大人ならHang out

 ならば大人のプレイとは?


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