第41話 新たな王国民

「……レオノーラ様は大丈夫ですか?」


 お風呂から出てきたレオノーラ様たちは、リビングのソファーに座り遠い目をしていた。到着して、かれこれ一時間は経つ。旅の疲れはエリクサイトの温泉で完全回復している筈だが。


「オホホ。アマノガワ王国の素晴らしさに感動しているのですわ」


 そうかぁ? なんか死んだ目になってるぞ?


「シルフィ、風呂で何かあったのか?」

「エリクサイトの温泉に面食らっていたぐらいかな?」

「大聖堂でイレーヌさんがダイヤを見て腰を抜かしていたな」

「あ〜、そういう事か」


 どうやら、エリクサイトの温泉と巨大ダイヤを見て精神的に疲れてしまったらしい。エリクサーは万能薬と言うが、実のところ精神的苦痛は和らげる、取り除く事は出来ない。


「じゃあ、今日はゆっくりして貰って、明日にでも話を伺うか」


 俺がそう呟くと、レオノーラ様が慌てて覚醒した。


「ト、トーマ国王陛下、この度は私たちの窮地を救って頂きありがとうございました」


 ソファーから立ち上がり、頭を下げるレオノーラ様。それに気が付いた従者のお二人も慌てて立ち上がると、レオノーラ様に並んで頭を下げる。


 レオノーラ様はニ十代の綺麗な女性で、アザトーイ王国では子爵様だった筈だ。内務大臣をしている方なので、リオンの記憶にも残っている。


 従者のお二人はイレーヌさんと、ミレーヌさん。二人はレオノーラ様のお世話役で護衛役、更には料理等の家事も得意との事だ。彼女たちの歳の頃は、俺らより少し上ぐらいかな。名前が似ているのは、二人が歳の近い姉妹だかららしい。


「ご無事で何よりでした。それから私の事はトーマで構いません。王国なんてのは勝手に名乗っているだけですから」


 ルミアーナ様がな。


「オホホ。レオノーラは既に王国民ですわよ。イレーヌさんとミレーヌさんも加わり、王国民は七人になりましたわね」

「えっ、レオノーラ様は子爵様で内務大臣ですよね? 不味いんじゃないんですか?」

「お兄様、この森に入る時の立て札を忘れたの?」

「あっ!? ではレオノーラ様も国外追放? な、何故ですか?」


 レオノーラ様の話では、アザトーイ王国内はかなり酷い事で国になっているらしい。そんな状況を何とかしたいと思い、ルミアーナ様を追って、危険な狂った森に足を踏み入れたとの事だった。


「はい。先ほどのお風呂場でルミアーナ様にはお話しをいたしましが実は――――」

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