第22話 オートマトン

 朝起きて朝食を作る。スキルメイクで調理師のスキルを取ったので、目玉焼きを焼いたり、キャベツを切ったりと手際よく出来るようになった。


 しかし、調理師スキルには落とし穴があった。目玉焼きなんかの簡単な物はともかく、少し凝った料理は、スキル習得後に食べた物でないと美味しく作れないのだ。


 料理に関して言えば、この家にいる女の子達に女子力を求めても無理だよな。何せ王女様に貴族の令嬢だ。料理なんかは作った事が無い筈だ。


「こりゃ、掃除なんかも大変だな」


 このメンバーで庶民育ちは俺だけだから、雑用は俺が担当する事になりそうだ。何か考えないといかん気がする。現代であれば掃除ロボットとかだけど……。出来るのか?


 テーブルに食事を載せて等価交換の素材として、ここに来る途中でクスノハ様が仕留めたオークを、異空間収納から取り出す。


「錬聖、自動人形オートマトン



「おはよう、お兄様」

「おはようございます、トーヤ様」

「おっはー!」


 三人が二階から降りてきて、リビングの扉が開いた。


「おはよう」

「オハヨウゴザイます」


「「「…………」」」


「お兄様、そのはだれ?」


 俺の隣に立つ水色の髪にゴスロリ調のメイド服を着た女の子。


「俺が作った自動人形オートマトンだ。掃除と洗濯と食器洗いが出来る」


 色々な事をやらせたかったが、プログラム容量に限界があるみたいで、視角認識、聴覚認識、基本行動、挨拶程度の会話に加えてやれる事は三つ程度が限界だった。


自動人形オートマトン? ゴーレムみたいな物ですか?」

「どうなんだろうな。俺もよく分からん」


 三人がオートマトンをまじまじと見ている。


「服が可愛い」

「王都には無いデザインですわ」

「どれどれ、中はっと? オオッ! 可愛いパンツだ!」


 躊躇なくオートマトンの短いスカートを捲りあげ、中を確認するクスノハ様。キャバクラのオヤジかよ!


「あ、ホント、可愛い!」

「此方はトーマ様の世界の下着ですか?」


 美少女三人が無抵抗のメイドのスカートを覗き見る絵面が、何故だか萌える。


 フィギュアはけっこう作っていたので、造形には自信があり、更には錬聖の効果で俺好みのメイドさん&衣装が出来た。


 フィギュアにおいても俺は下着にこだわっていた。フィギュア用下着を専門通販で買って、標準で付いている寂しい下着はポイである。


 だからオートマトンにも、俺好みの可愛い下着を着用させてある。


「こちらの下着、わたくしにも作って下さい」

「あっ、オレも!」

「えっ、えっ、あ、わ、私も……」


 こちらの世界の女性下着は紐パンに近い。ブラジャーもコルセットのようなガッチリとしたものだ。


「いいですよ」


 現代ではアパレル会社に勤めていたので、多少は女性下着の知識もある。俺は異空間収納からゴブリンの死体を一体取り出した。


「では、このゴブリンを素材にして下着を作りますね」


「ダメですわ!」

「無理!」

「ゴブリンの死体で出来た下着は着れないから!」


 等価交換の素材だからゴブリンでも関係ないのだけれど、女の子達から猛烈にダメ出しされて、結局ルミアーナ様の衣類を素材に下着を錬聖した。


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