8 君に会いに帰るよ
卒業式の後に友人達と打ち上げをした。それ以来会っていない。連絡はまだとっているけれど、皆新生活の為に引っ越していく。 きっと徐々に絶えていくのだろう。
「黒ちゃん」
ただ一人を除いて。
「……西、私は行かないって言ったはずだけど」
「でも来たじゃない。ほら、桜も咲いてる。花見日和だよ」
見なくてもわかる。西は笑っている。にっこり朗らかに。
「ピクニックかよ」
「そうだよ」
毒舌もいなす友人に怒る気力も失せた。ただ桜の花びらが散る様を眺めた。
「来週には私も引っ越すよ」
「そう」
不意を突かれ、応える声が震えた。
「でも、夏にはまた会おうね。連絡するよ」
西が笑う。私の手をとって笑う。眩しさに目を眇めながら、私は頷いた。
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