第二十三話「閑話 ~砂月 瀬那編~」
結月は自室で読書をしていた。
美羽にお茶を頼もうかと思ったその時、外が騒がしいことに気づいた。
何事かとふすまを慎重に開けてみるとそこには言い争いをする瀬那と美羽の姿があった。
「困ります。自室へはいくら瀬那様でもお通しできません」
「えー。ちょっと話すだけだからさ!」
「そうはいっても……」
すると、様子をうかがっていた結月は瀬那と目があった。
勝ち誇った顔をしながら、こちらに近づいてくる瀬那。
結月の前までくるとなんとも軟派な様子で声をかけた。
「結月ちゃんー。最近俺のこと避けてるでしょ? 妖魔退治の時も最近俺と全然行ってくれないし……」
「それは、誰と行くかは凛さんが決めているので」
「え?! そうなの?! 凛さんずるい……」
ずるいのか? と結月は疑問に思ったがあえて言わないことにした。
そう言っているうちに美羽が瀬那に追いついてきた。
「勝手にいかれては困ります」
「ごめん、ごめん! 結月ちゃん、はいこれ」
そういって渡されたのは、綺麗な桜色のかんざしだった。
「え……これ……」
「贈り物! 本当は街で好きなもの見て買ってあげたいけど、連れ出したら怒られるしね」
「かわいい……」
結月はまじまじとかんざしを見つめる。
「気に入ってくれた? じゃあ、今度お茶でもしようね!」
そういうと美羽の横をすーっと通って戻っていった。
「全く困ります」
そういう美羽の横でどんな着物に合わせようかなとわくわく考えている結月だった──
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