第2話 紺色は好きですか?前編
そして、三人でわたしの自室に集まる。
「パーティーゲームしませんか?」
由美が妙な事を言い出す。なにか嫌な予感がする。何枚か紙を取り出した由美は何か書き始める。それをねじり、クジのようにしてしおりに引けと言うのであった。これは罠だと直感的に察知する。しかし、時遅し。しおりはねじれた紙を引き皆に見せる。
『スクール水着』とだけ書いてある。
「ふむふむ、当たりですな」
上機嫌の由美は一旦、隣の自宅に向かい何かを持ってくる。そう、スクール水着である。しおりは別室で着替えてスクール水着姿で登場する。
まー、感想は喜んでいいのか、はたまた、悪ふざけのし過ぎと由美を怒るべきなのか迷う。しかし、ただのスクール水着姿のはずが、凄く刺激的である。
「この水着、胸の辺りだけキツイです」
その言葉にお約束だが由美は怒り気味である。わたしはそんな由美に残った紙のクジを引く様に言うと。
「えー仕方ないな……」
由美は紙を取り出して広げると『スクール水着』とだけ書いてある。
「えへ、当たってしまった」
どうするのか由美を観察してしると。由美は別室に向かうと着替えてスクール水着姿で入ってくる。確信犯だ。二人でスクール水着姿に成りたかっただけだ。
イカン、これは刺激的過ぎる。二人のスクール水着姿はわたしの本能を刺激して顔が赤くなる。酷い熱病にでもかかった気分であった。
「オプションでメイドさんのエプロンがあるよ」
由美が更に悪乗りをしている。
「ダメだ、メイドさんのエプロンを追加したらお店になってしまう」
わたしは由美に強く自制を求める。色々な心配をしている直後「なにか飲む物が欲しいですね」と由美が言う。由美には強く自制を求めたのにまた難題を言う。
そう、由美が遊びに来た日はティーセットを飲むのが慣例である。スクール水着姿の由美にティーセットを用意されたら、料金が発生しそうなので。渋々、わたしがティーセットを用意することになった。
それから、わたしはキッチンでティーセットを作っていると。思わず心が弾む。本心では二人のスクール水着姿は嬉しいのであった。
それから、テキパキとティーセットを作ると自室に向かう。刹那、自室の前で怪しい気配を感じると。自室のドアが凄く重たく感じる。
「あーもっと笑顔で」
由美がスマホを取り出してスクール水着姿のしおりを撮影している。しおりの長い黒髪に白い肌は可憐であった。そう、しおりはスクール水着姿でも輝いていた。
「一茶さん、わたしは必要とされてます。一茶さんに拾われて、わたしは幸せ者です」
その言葉に胸が痛んだ。作られた天才のはずが凡人の人生を送っている境遇のわたしには癒しの言葉であった。
「おお、ティーセットが整ったか。ここは撮影会を一休みするか」
由美はスマホを置き紅茶を飲み始める。どれ、わたしも……。
「しおりも遠慮せず飲むといい」
それから、ずずいーと、三人で紅茶を飲むのであった。
「うぅぅ、頭が痛い……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます