「仮り詩」霧四面体

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm40026621


作詞:霧四面体

作曲:霧四面体

編曲:霧四面体

歌唱:さとうささら


 次に紹介したいのは『仮り詩』という楽曲である。製作者は霧四面体、歌唱ソフトはさとうささらとなっている。霧四面体は2010年頃から楽曲の投稿を始め、UTAUやVOCALOID、CeVIOなど様々なソフトを用いて楽曲の制作を行っている。また、インスト楽曲の投稿なども行っていた。

 今回使用された「さとうささら」はCeVIOのライブラリの一つであり、ソング・トークの両方で愛されている。トークでもよく使われるため、ボイロ実況などで耳にすることも多い。今回『仮り詩』では2021年に発売されたCeVIO AIのさとうささらが使われている。

 楽曲の話をしていきたい。電子音とギターサウンドが響くこの楽曲は、チップチューンとロックのかけ合わせのような雰囲気となっている。ところどころに使われる電子音がアクセントになり、聴いていて楽しい構成となっている。BPMは200と比較的早い楽曲となっており、疾走感もある。

 また、CeVIO AIのさとうささらの歌唱力も光る。元々明るくのびやかな声のライブラリではあるが、この楽曲ではそこに切なさが加わった調声がなされており、まるで生きているかのような印象を与える。熱唱するささらの姿が目に浮かぶようだ。知らない人が聴けば、人間のアーティストが歌っていると勘違いする次元ではないだろうか。

 MVも特徴的で、ゲームのタイトル画面を思わせるかのように、中央にタイトルが表示され、左右に歌詞とコード進行・BPMが表示されている。何故BPMの数値が分かったかというと、この画面に「BPM=200」と表示されていたからである。シンプルではあるが、観る人の印象に残るMVとなっている。

 この曲のテーマとして、霧四面体は自身のブログにおいて、「少女→美少女アバター(もうおかしい)→メタバース的ディストピア構築論(????)」という発想のもと制作をしたことを明かしている(本人曰く「暴走解釈」)。そのため、歌詞には現実と非現実の間を彷彿とさせる言い回しが見られる。私の好きなフレーズとしては、二番歌い始めの部分が挙げられる。


「ああ、撃ち込んだ音が偽物だってことくらい知ってる。

 頼りにしてるよ 余計な感情が入らないから」


 偽物の「撃ち込んだ音」と聞くと私はVOCALOID全般を思い浮かべてしまう。その音に対して「余計な感情が入らないから」という理由で「頼りにしてる」と答えるのが、ボカロPとボカロの関係を表しているようで好きだ。考え方によっては、この合成音声音楽も一種のメタバースなのかもしれない。

 最後になるが、この楽曲はコンピレーションアルバム「niña‬ vol.4」の参加曲であ。今回は「少女」というテーマのもと、16人のボカロPが楽曲制作を行った。このアルバムはフリーでダウンロードが可能になっているため、興味のある方はぜひダウンロードしてみてほしい。


霧四面体 星の瓶詰め(本人のブログ)http://4coronagraph.seesaa.net/article/485496226.html


アルバム「niña‬ vol.4」のURL

https://nina2019.booth.pm/items/3655856

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