前のエピソード――第7話小森俊明第1章-撮影現場に不可解なものが落とされた

"夏子、早くして！"原由貴美亜は、先にいる南部乃莉子に「ついてこい」と手を振った。

国際的な高級ブランドや衣料品のトップブランドが揃い、洗練されたレストランが立ち並ぶ明るいショッピング街。

南部律は今日もホテルでウェイトレスのアルバイトをしない。また、原由貴美亜は昼間待っていなかったことを謝り、ここに来て食事をしてから買い物をしないかと誘う。

普段、南部ノリコは高級ショッピングタウンに行く機会がない。お金もそうだし、興味もない。

原由樹のようなお金持ちの女の子が、ここに買い出しに来るのは日常茶飯事だ。

南部ノリコは、1日だけエキストラも務めた宮原裕紀を心から尊敬しており、相変わらずの生き生きとした姿を見せてくれます。

ジャジャーン!

高級衣料品店で、原由貴美亜はさっと一枚の服を取り出す。彼女は目を上げて再び周囲を見回し、後ろに立つ店員に「私が持っているもの以外、こっちのラックにある服は全部、Sサイズ、試着室まで持っていってください」と軽く言う。試着してみる"

うわー、お金持ちが服を選ぶと違うんだ、と南部理子は心の中で叫んだ。

たくさんの試着待ちがあります。南部律は原由貴美亜に挨拶をして、待合室へ向かった。

"ジュンミンよ、ヒールで疲れたよ!運んでもらっていいですか？もう我慢できないんだ・・・・・・。"

南部ノリコは、目の前で女性の繊細な声を聞き、顔を上げると、両手に大きなバッグを持った華やかな服装の女性がいた。

"ハイヒールを履け "とは言っていない。持っているのに飽きたら捨てればいい、誰に強制されているわけでもないんだから！"と。

南部陸奥は、ゆっくりとした散漫な言葉の響きに聞き覚えがあり、視線を向けると、それは彼、小森俊明であった。今日会ったドヤ顔男!

「この方、買い物に付き合わされているようですが、両手に何も持たないとは何事ですか？この子の手は買い物袋を持つのがやっとなのがわからないの！？"鉄面皮で前に出て小森敏明を見上げると、南部理科子は憤慨したように言った。

小森敏明は憤慨する南部の理子に目を向けると、軽く微笑んで「おい、また来たぞ」と慌てずに言った。彼女のために戦っているのか？残念ながら、買い物に付き合ったのは私ではなく、彼女が首をかしげて、わざわざ一緒に来てくれたのです」。

そして、白く長い指で、女性の手にある袋の山を指差し、ゆっくりと言った。"これらは、私が一応お金を払って彼女のために買ったもので、買ったわけでもないのに、どうして私が持っていかなければならないのですか？" と。

小森敏明の目は退屈そうに散っていた。この女と理屈をこねることにほとんど興味がないのだ。

"だから少しは助けてあげられなかったの？紳士になれ？"南部理子は一歩前に出て、女性の手からいくつかの袋を降ろすのを手伝おうとした。しかし、女性は縮こまり、一歩後ずさりした。

"お嬢さん、でも私は紳士ではありませんよ！へっぽこは疲れてるからやめろって言ったんだけど、やらないんだよー。なんて欲張りな女なんだ、私がひどいことを言っても、まだついてくるんだから。"小森敏明は、軽蔑の眼差しで小さく呻いた。

南部理子はすぐさま彼の前に立ち、腕を組み、「この方、無礼をお許しください！」と憤慨した。よくもまあ、気軽に女性の悪口や侮辱ができるもんだ！"

"本当のこと "を言ってるんだよね？それに、彼女が買い物袋を触らせたのを見たことある？"小森敏明は、顔を少し横に向け、眉間に折れ髪の額を寄せ、その目は傲慢さを湛えて、ゆっくりと言った。

一瞬、見知らぬ道が見渡され、周囲の人だかりが大きくなっているのを見た女は、邪魔な人の壁をすり抜けて、あっさりと去っていった。

二人は目を見開いて見つめ、周りに集まっていた人たちは散り散りになってしまった。

小森敏明は、そんな彼女を見定めながら、「悪い目的のために、チッ、買い物みたいに来るなということですね」と軽く頭を下げた。ここは高級消費地だ！また昼間間違えて私の車に乗り込んだフリをして、金持ちの中年男性を誘惑しようとしてるんだろう！"

南部梨子は眉をひそめ、歯切れが悪く、「毒舌ですね！」と言った。私はあの女性たちとは違うのです"

"さあ、服を買ってあげるから、好きなのを選んで！"小森敏明は、白く細長い指で財布の中のカードをはさみながら、優しく言った。

"行かないで"

"あ、洋服とは違いますよ。では、デザイナーズバッグは？宝飾品？"小森敏明は、まるでハンターが獲物を罠に誘い込むかのように、優しく語りかけた。

"ダメだ！なんてお利口さんなんだ！"南部陸奥は、怒りに任せて振り返らずに歩き出した。

"おい、本当にいらないのか？"

背後から小森俊明（こもり・としあき）の淡々とした声が聞こえてきた。

南部理子は、小森俊明のような意地悪な人間を一瞬でも見たくないので、さっさと試着室のほうへ歩いていった。

......

ホテルのレストランでは、ウェイタースーツに身を包んだ南部ノリコがダイニングルームのセッティングを行い、カトラリーのチェックを入念に行っている。

ウェイトレスが横にやってきて、"夏子さん、手を止めて、あの席に若い紳士がお声を掛けていますよ "と声を掛けた。

"よかった"笑顔でうなずきながら、南部律は同僚の言う場所まで歩いていった。

半分ほど進んだところで、ふわっとした栗色の短髪と、カジュアルスタイルのきちんとしたおしゃれなスーツが目に飛び込んできた。軽く微笑んだその顔は、小森俊昭（こもり・としあき）だった。

"夕食 "に来たのは初めてだから、アルバイトのウェイターとしてここに座っているんだ。座って一緒に食べませんか？"小森敏明は笑顔で優雅に立ち上がり、隣の椅子を引き寄せた。

"ごめん、仕事があるんだ・・・・・・"

"嫌なら文句を言え "と。小森敏明は、彼女の言葉を待たずに顔色を変え、ニヤニヤとしたヤクザのような顔で生きていた。

南部理子は手を握りしめ、歯を食いしばりながら頷き、素直に座った。彼女は、狂人である小森敏明が言ったとおりにしてくれる、その場合、給料が差し引かれると本気で信じていたのだ。

小森敏明は、料理を豪快に頬張りながら、ドヤ顔をしていた。一方、南部の理子は、テーブルの上の食器には手をつけず、たまに水を飲む程度であった。

小森敏明が手に持っていた箸を止めたのを見て、もういいやと思ったようだ。彼はポケットからカードを取り出し、口元に笑みを浮かべながら、悠然と言った。"そのカード、あなたにです "と。

"え？"突然の言葉に驚いた南部陸奥は、慌てて首を横に振り、カードを押し返した。

"車 "をプレゼント？家？"小森敏明は、少し顎を上げながら質問を続けた。

南部理子は頭の中で目を丸くして、「ああ、なんと独りよがりで傲慢な男だろう」と思った。嗚呼、これを手に入れたとしても、本編の世界とクロスオーバーして、次の物語に行き着くのだ！これは使えない。私は思わず、"おい、何かあったのか？"と叫んでしまいました。

突然、彼女は少しやりすぎたと思い、再び口調を和らげ、プロフェッショナルな笑顔を浮かべ、"この方、食事がうまくいっているならば、私は仕事をします "と言ったのです。

"ふーん"小森敏明はうなずき、先ほどの紳士的で礼儀正しい表情に戻った。

仕事を終えた南部理子は、ホテルの外に出た。歩きながら思ったのですが、今一番登場回数が多そうなのは、あの小森敏明という迷惑な男で、彼が主人公になるわけがないじゃないですか!ああ！作者さん、ほっといてください！本当に迷惑な人です。

突然、彼女は頭を振って、今、頭をよぎったこの不快な考えを振り払おうとした。私は今、彼に近づくことを躊躇している、と彼女はつぶやいた。だから、作者は私に近づかざるを得ないような犬猿の仲の筋書きを書くかもしれない？

そう思ったとき、ふと頭に浮かんだのは、恋愛小説によくある「ヒロインの家族が重い病気にかかっている」というストーリーだった。ああ！いやー、偶然にも小森敏明さんがとてもお金持ちに見えるんですよー。もしかして、家族を救うために緊急にお金が必要だから、小森敏明と犬猿の仲なのでしょうか？そして、あいつのそばを離れず、あいつにいじめられる羽目になるんだ！」と。

考えれば考えるほど怖くなり、体が震えずにはいられなかった。彼女は携帯電話を取り出し、父親の番号に電話をかけた。アドレス帳を見ると、「お父さん」と書いてあるが、ヒロインには安心感がまったくない。

"ハロー、パパ！"南部律が興奮気味に叫んだのは、向こうのお父さんが電話を取る音が聞こえたからだ。

"娘よ、こんなに遅くまで電話してきて、何か問題でもあるのか？"

"ああ、ダメだいや、別に。ただ、最近、ママと元気かどうか聞きたかっただけ。"

"ええ、もちろん良いですよ......"

"確かに重病ではないな!では、貯金はあるのでしょうか？その......」南部理子は、電話の向こうの父親の元気な声を聞きながら、用心深く試してみた。

"重病 "とは何事だ、この娘！？お金、に当たって何かあったのでしょうか？ママとパパの貯金がまだ数百万円あるんだけど、助けてくれないかな？"お父さんは急に心配になった。

"ほう、私は関係ないですよ、ただ聞いただけです。"南部陸奥はぎこちない笑みを浮かべながら説明した。

"じゃぁ、お金ってなんだろう？死にたくはないだろう、お嬢さん、今、お母さんがしっかり見ているよ。

将来は専攻の大学院に行きたいとこぼして、母親を怒らせて生活費を削ったのは誰だ。また、頑固で、アルバイトにこだわって、お母さんに譲らない、短気なところがありますよね！？

しばらくして治ったら生活費くれるよ。お金がないならお父さんに相談しなさい。お母さんは払わないけど、お父さんは払うから！"と。

南部理子は、向こうのお父さんの素敵なおしゃべりを聞きながら、「では、我が家は万事休すですね」と続けた。早く寝なさい、お父さん、もう切るよ。これから帰る途中、まあ、安全だろう。"

電話を切って、南部理子は爆笑した。ははは、作者はあんな安っぽい演出は書いてないみたいだから、勘弁してくれよ、ははは。

嬉しかったのですが、床に映る斜めの影を見て、ちょっと躊躇してしまいました。この安っぽいルーチンを書かないからと言って、他の安っぽいルーチンを書かないとは限りませんよね？気にしないで、今日を乗り切ろう。周囲を見回し、誰もついてきていないことを確認すると、彼女はバーベキュー街に向かって勢いよく走った。そこはとても賑やかで、彼女がその通りを渡ると、借りた家に着くのだ。