星の浮島~月冠の巡歴~

一華凛≒フェヌグリーク

むかしばなし

 ずっとむかし。

 まちがいはじめの第一歩。


 欲深な鳥たちはすべてを宝石にするキカイをつくりました。

 とがめた精霊がころされました。

 いちばん欲深な鳥がキカイをひとりじめしようと飲み込んだのでキカイはこわれました。


 キカイは海をとりこんだけれど、こわれていたから灰になります。

 キカイは命をとりこんだけれど、こわれていたから灰になります。

 キカイは大地をとりこんだけれど、こわれていたから灰になります。

 いつしか、この星は灰になりました。

 いちばん欲深な鳥は風とキカイをつかって、とおる場所すべてを灰にしたのです。

 のこった生き物は、かの鳥を「灰の怪」と呼びました。


 ある時、とがめた精霊の友だちが「灰の怪」とけっとうする間に、のこった生き物はさいごの精霊におねがいしました。


 精霊は生き物たちと約束をしました。

 精霊はのこった生き物たちを箱舟しまにすくって空で守ります。

 箱舟しまはとてもせまかったから、生き物たちはつながって、ひとまとまりのあたらしい生き物になりました。


 これが星の浮島と、浮島生物のはじまりです。



 けれど浮島生物も、欲深でした。

 約束はほとんどやぶられました。

 愛し子が6名生まれました。

 約束はあと1つです。

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