第48話

 カチャリ。

 ドアが開いた。

「舞ちゃん、何回も鳴らさないでくれるかな、あと何時だと思っているの?」

 目の前の男は黄色いパジャマを着て、さきほどまで寝ていたのであろう、まぶたがまともに開いていなかった。

「ごめんね、店長。どうしても店長に会いたいっていう、お客さんがいたから連れてきたの」

 男が半開きのドアを全開まで開いて、舞の横の二人を見る。

「あれ?」 

かずさとあさぎは目を合わせた。




マンションの一室。

 四人はソファに座りながら、姉妹から今までの話を聞いていた。

 黄色いくまのぬいぐるみが人数分の緑茶を用意してどうぞと言いながらテーブルに置いていく。おいしょ、とソファによじ登った。

 姉妹はお願いします、力を貸して下さいと頭を下げた。

「無理だ」

「なんで!」

 かずさは身を乗りだして、目の前のテーブルにダン!と両手をついた。

「君の月の力を操れるようにするのが無理なんだ」

「そんなのやってみなくちゃ!」

「一つ聞くけど、魔法を扱えるようになってどれくらい訓練したとか覚えてるかな」

「それは……」

「それに、君がコントロールしようとしているのは大きな力だ、普通の魔法とは訳が違う、凄く扱いが難しいのはわかるだろう」

「はい」

かずさは大きくなっていた声を普通に戻して腰を下ろした。

「今まで訓練もしないで、使ってこなかったものを三日でどうにかしろなんて無理だ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る