♯5 一緒にお布団

[SE] ガララララ(扉を開く音)

   ボフッ(布団に倒れこむ音)




「うぅーのぼせたーー! 目がぐるんぐるんするー」

「ちょっと窓開けていい?」




[SE] ガラッ(窓を開く音)




「あっ、開けてくれてありがとう!」

「風が気持ちいいい」




[SE] コトッ(ビンを置く音)




「えっ、いつの間に瓶のコーヒー牛乳買ってきてくれてたの?」


「そうだったんだ! あなたに先にお風呂あがってもらったもんね。ありがとね!」




[SE] ごくっごくっ(牛乳の飲む音)




「ふぅーー、やっぱりお風呂上りはこれだねぇ……」


「えっ? さっきは悪かったって……」

「ふふっ、どうしたの急に?」


「そ、そりゃ恥ずかしかったけど……」

「……とっても恥ずかしかったけどさ」


「……すごく楽しかったよ」


「もう言わせないでよ! これ以上恥ずかしいの禁止だからね!」



「うん、あとは寝るだけだよね……」

「うー、今日は何か寝るのもったいないなぁ」


「て、ていうか今更だけど普通に布団並んでるよね……」


「いいんだけどさ! いいんだけどさ! 何か緊張しない?」


「な、何か今日はずっと私だけドキドキしてる気がする……」


「う、うん。こんな時間だからそろそろ寝ないとだよね」


「じゃ、じゃあ電気消すからね」




[SE] パチッ(電気を消す音)

   ゴソッゴソッ(布団に入る音)




「……」


「……」


「ね、寝れない……」


「あなたは寝れそう?」



「うん、私も何か目が冴えちゃってて」

「ちょっとおはなししない?」


「今日はすごく楽しかったね。私こういう旅館にちゃんとお泊りにくるのって初めてだからはしゃぎすぎちゃった」

「今日はうるさくしちゃってごめんね」


「ありがとう、あなたならそう言ってくれると思ってた」


「うん、今日は楽しすぎてあっという間に終わっちゃった……」

「初めて来た場所なのに明日ここを離れると思うと何だか少し寂しいな……」


「私ね、ほんのちょっとだけ不安だったの」


「なんでかって? ほら、付き合いたてのカップルって旅行とか遊園地に行かないほうがいいって言うじゃない?」


「えー! 聞いたときないの!?」

「付き合い立てで長い時間一緒にいると喧嘩しちゃう人多いんだって!」

「遊園地とかで列に並んでたりするとはなししかすることないから喧嘩しちゃう人多いみたいだよ?」


「そうだよね! そういうところに行って一緒に並んでおしゃべりしてるだけでも絶対に楽しいよね!」


「ふふふっ、あなたとはそういうことじゃ喧嘩しなさそうで安心しちゃった」



「……いつもあなたと一緒にいるとあっという間に時間がすぎちゃう」

「今日なんて特に……」

「普段過ごしてる24時間と全然違うみたい……」



「うんっ! これからも一緒に色々なところ行きたいね!」

「次はどうする!? 山に行く? 海に行く?」

「あっ! それこそ遊園地とかも絶対に楽しいよね! 私、有名なお寺とか神社とかも行ってみたいなぁ」


「そうだそうだ! 美味しいところ巡りも楽しそう!」

「どうしようどうしよう! 次はどうしよっか!?」



「そっか! そうだよね! あなたの言う通りこれから全部行けばいいだけだもんね!」

「これからが楽しみだなぁ。またあなたとこういう旅行ができるように一生懸命頑張らないと」



「……」



「……」



「ねぇ、ちょっとそっちに行ってもいい?」




[SE] ゴソッゴソッ(布団と衣擦れの音)




「……」


「……えへへ、大好き」




[SE] ちゅっ(キスの音)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る