♯2 お部屋と夕食

[SE] ガチャ(部屋のカギを開く音)




「すごーーい! お部屋が広い! 畳の良い匂いがする!」




[SE] ドンッバタッ(荷物を置く音)




「ねぇねぇ! ここ内風呂もあるよ! あとで入ってみたい!」


「えっ? 大きい温泉もあるの? じゃあそっち優先だね!」


「ダーメ! 一緒には入らないからねっ! そもそも混浴じゃないでしょ!」



「っっっううう内風呂なら大丈夫って!! 全然大丈夫じゃないから!!」


「も、もうあなたが変なことばかりいうから変な汗かいちゃったじゃない……!」




[SE] トットットッ(歩く音)




「なんで、こういうところにある掃き出しのスペースって魅力的に見えるんだろうね」

「あっ、イス座ってみる?」




[SE] ザッ(椅子に座る音)




「わーー! 窓から見える眺めすごくいいよ!」

「さっき来た時に見えた湖もあそこ見える!」

「あそこにもいつか行ってみたいね!」


「あっ、テーブルの上に色んなお茶あるよ? 何か飲む?」


「うん、分かった。緑茶のほうだね! こういうところのお茶ってすごく美味しく感じるよねぇ」




[SE] コポポポポ(お茶を入れる音)




「うぅーー、お茶が染みるねぇ」


「えっ!? おばさん臭い? もぉー何ですぐそういう意地悪言うかなぁ」

「けど、私がおばさんになっても一緒にいてくれるんでしょ?」


「ふふふ、心配しなくても私はあなたの髪が薄くなってもずっと一緒にいるよ。付き合うときにそう言ったでしょ?」


「えっ? いつからあなたのこと好きだったかだって?」

「うーん、いつからだろう。気が付いたら目で追ってたみたいな……?」

「けど、今は付き合う前よりもずっとあなたのことが好きになってるかな」

「そういうあなたは今はどうなの?」



「もぉ……。本当に最近恥ずかしいこといっぱい言うんだからぁ」


「ね、ねぇ。ちょっとテレビつけてみない?」




[SE] ピッ(テレビをつける音)

   テレビの賑やかな音が流れる




「地方のテレビ番組見るのって新鮮だよね、同じ日本にいるのに全然違うところに来たみたい」

「あっ、このお天気お姉さんかわいい!」


まったく―! そこでうんって頷かないでよ!」


「えっ、そんなに謝らなくて大丈夫だって。大丈夫だよ、あなたが一番好きなのは誰だか分かってるから。えへへへ」


「ほら、見て見て! 明日の天気も晴れだって! 良かったぁ」




[SE] ぐぅううううう(お腹の鳴る音)




「き、聞こえた……?」


「嘘だっ! 絶対聞こえてたでしょ!?」


「だ、だってお腹すいたんだもん!」


「もー! そんなに笑わないでよっ!!」


「……けど夕食までまだちょっと時間あるよね、どうする? 先にお風呂入ってきちゃう?」


「うんそうしよっか! じゃあ用意して温泉にいこっ!」




[SE] トットットッ(歩いていく音)




※※※




「ぷはーー! いいお湯だった! お肌もつるつるになった気がする!」

「男風呂のほうはどうだった!? こっちはひのきのお風呂に、景色の綺麗な大きな露天風呂もあったよ! 他にもね色んなお風呂があってとても回り切れなかった!」


「えーーっ! そっちにそんなお風呂あったの!? これはもう一回入りに行かないとね!」



「……一緒に入りたかったってもうっ」

「ほ、ほら! そんなことよりこれ見てみてよ旅館の浴衣着てみたの」


「に、似合ってるって直球で言われると照れちゃうなぁもう。あ、あなたってなんでそういうことを平気で言えるの」



「平気じゃないって、こっちには平気に見えるよ? いつも私ばっかり恥ずかしがらせるんだから」




[SE] ぐぅううううう(お腹の鳴る音)




「……っ」



「笑った! また笑ったでしょ! どうせまたかって思ったんでしょ!」

「はいはい、どうせ私は腹ペコですよ! お腹ぺこぺこですよ!」


「もうっ! 笑いすぎだってば!!」


「じゃあ早くご飯食べに行こっ! もう夕食の時間だよね?」




[SE] トットットッ(歩く音)

    ガラララッ(扉の開く音)




「わー! すごい! バイキング形式だね!」


「はいはい、いっぱい食べますよーだ!」


「あっ! 窓際まどぎわの席空いてるよ! あそこ座ろうよ!」




[SE] ガタッ(椅子に座る音)




「うわー、こんなにいい景色でご飯食べられるなんて最高だね」


「こらっ! 花より団子とか言わないでよ!」

「ほ、ほら、じゃあご飯取りにいこうよ!」




[SE] トットットッ(歩く音)




「……いっぱい美味しそうなのありすぎて迷っちゃうなぁ」


「あっ! ホントだ! お魚にお肉になんでもあるね!」


「全部食べればいいって、それはお腹が無理だよ~」

「そうだ! あなたと半分はんぶんこずつ食べれば色んなものいっぱい食べられるよね!」


「じゃあ二人で別々のやつ取っていこうよ! 私が肉担当であなたが魚担当ね!」


「えっ? 野菜? や、野菜はお任せするよぉ……」




※※※




「ふぅ、いっぱい食べたーー! これ以上は食べられないよぉ」


「えへへ、あなたもいっぱい食べたね。ねぇねぇ、どれが一番美味しかった?」


「うんうん! あのお肉美味しかったよね! けどあのお魚のお刺身も美味しかったよね!」


「うー、食べ過ぎてお腹ポッコリ出てそう……」


「えっ? あっちにデザートあったの!?」


「そ、そんなにいっぱいあったんだ……。ちょっと見てこようかな……」


「た、確かにさっきは食べられないって言ったけど、デザートは別腹だから! 別腹だから!」


「いいから! 細かいこと言ってないで一緒に見に行こうよ!」




[SE] トットットッ(歩く音)

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