“大好きな”あの子と普通に旅館に泊まりに来ただけ
丸焦ししゃも
♯1 チェックイン
[SE] ブロロロロロン(バスの止まる音)
「えへへ、もう着いちゃったね」
「あなたと話してるとあっという間なんだもん」
「楽しみだなぁ。ちゃんと旅館の予約取ってくれてありがとうね!」
[SE] ざっざっ(歩き出す音)
「ここから少し歩くんだっけ? 一緒に歩いていたらすぐ着いちゃうよね!」
「あっ! 見て見て! 向こうに湖見えるよ!」
「風が吹きぬけてて気持ちいいね!」
「それにしてもびっくりしたなぁ。あなたから告白してきたときは」
「えっ? なんでOK出したかだって?」
「そんなの教えませーん」
「えー、そんな顔しないでよ。やだやだ、恥ずかしいから言わないよ」
「だから、そんな顔しないでってば! 本当に恥ずかしいの!」
「もーう、しつこいなぁ。じゃあ一回だけしか言わないからちゃんと聞いてね」
「――――だったから」 (小声で良く聞こえない)
「はい終わり! もう終わり! あーー! もう恥ずかしい!!」
「えっ!? もう一度聞きたい?」
「やだやだ! もう言わないよ! もーー、顔から火が吹き出しそう!」
「……あれ? あれれ? もしかしてあなたも顔が赤くなってない?」
「気のせいだって? ホントかなぁ」
「じゃあ、あなたの顔が赤くなってないかちゃんと近くで確かめてあげるね」
「……ふふふ、やっぱりすごく赤くなってるよ」
「えっ、私の顔のほうが赤くなってるって?」
「だ、だってこんなに顔近づけるの初めてだったんだもん……」
「もっと近づきたい? ダーメ! 今はダメ!」
「ケチでもなんでもありません! ダメなものはダメです」
「もぉ……、そんなに言うなら仕方ないなぁ」
「はい! じゃあ手を握ってあげるから。今はこれで満足して!」
「あっ……、も、もし
「もーーー! なんでそんな
「だって緊張しちゃうんだから仕方ないでしょ!」
「もうあなたって本当に
「悔しいなぁ……。いつもあなたといると私のほうがドキドキしてる気がする」
「絶対にこの旅行中にあなたのことドキドキさせてみせるんだから」
[SE] ざしゅざしゅ(二人で歩いている音)
「あっ、旅館が見えてきたよ!」
「すごーーい! 立派な旅館! 私こういうところ初めて来た!」
「ねぇねぇ! 早く入ろ! すごく楽しみ!」
[SE] ウィィィィン(自動ドアが開く音)
「す、すごいね。床が高級そうな真っ赤な綺麗な絨毯だ……」
「あっうん、そうだよね! まずは、チェックインの手続きしないとだよね」
[SE] 旅館のガヤガヤ音
「う、受付の人に笑われちゃったね」
「だ、だって手を繋いだままなの気が付かなかったんだもん……」
「うーー恥ずかしいなぁ。バカップルみたいに思われたかもじゃん!」
「事実だからしょうがない? もうっ! なんでそんな恥ずかしいこと言えるの!」
「あっ! あそこにお土産屋さんあるよ!」
「いいじゃんいいじゃん、最初に見たって! ちょっとだけ見てこうよ!」
[SE] トットットッ(旅館のカーペットを歩く音)
いらっしゃいませー
「わー、美味しそうなお土産いっぱいあるね!」
「分かってるって! 買うのは帰りだよね! ちゃんと分かってるから」
「なんで、こういうところのキーホルダーって欲しくなるかなぁ」
「えっ? おそろいにしたい?」
「……どうしよっかなぁ」
「も、もうなんでそんな悲しそうな顔するの!」
「たまには私にもからかわせてよ!」
「私だっておそろいにしたいんだから!」
「あっ、このキーホルダー可愛いなぁ」
「ふふっ、これをあなたがつけてたらちょっと可愛いすぎるかもね」
「あっ、うん。帰りもゆっくり見てみようね!」
[SE] トットットッ(旅館のカーペットを歩く音)
「あっ、向こうにはゲームセンターあるね」
「なんで旅館とかにあるゲームセンターって楽しそうに見えるかなぁ」
「行ってみたい? ダーメ! ゲームはいつでもできるでしょ!」
「も、もうそこまで言うなら仕方ないなぁ。ちょっとだけだよ?」
[SE] ゲームセンターの騒がしい音
「昔の? ゲームがいっぱいだね」
「あっ、懐かしい! このゲーム見たときある!」
「んっ? どうしたの? 何を見てるの?」
「だついまーじゃん?」
「ちょ、ちょっと! これエッチなゲームでしょ!」
「こんなの見てたらあなたのこと嫌いになるよ!」
「だ、だってこんなの見てたらダメなんだよ。エッチなのはダメなんだからね!」
「もーー! 嫌いにならないから! 嫌いにならないからそういう顔しないで!」
「もうっ! ここはもういちゃダメ! 早くお部屋に行こうっ!」
[SE] トットットッ(旅館のカーペットを歩く音)
エレベーターの起動音
「なんかこういうところのエレベーターって緊張しない?」
「あー、分かる分かる! 他の人と一緒になると緊張しちゃうよね!」
[SE] ウィィィ、ガシャン(エレベーターの開く音)
「あっ、お部屋は三階なんだね、どんなお部屋か楽しみだなぁ」
「ふふっ、大丈夫だよ。あなたが選んでくれたお部屋なんだからどんな部屋でも文句言わないって」
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